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第65話
帰り道、不意に後ろから肩をたたかれるみずき…。
「あれ~っみずき!何してんの?こんな時間に?」
「…ヨシ、飲んでるのか?」
絡みつくように話かけてきたのはヨシこと北上ヨシヤスだ。顔が随分赤くなっている。
「そうそう~っ飲み会の帰りでさぁ、ちょーと飲み過ぎてるかんじ~?」
「…早く家に帰れ」
かなり酒くさいヨシ、こんな酔っ払いを相手しているヒマはない。
冷たくあしらう。
するとヨシは、びっくりしたようにさらに絡んでくる。
「み、みずき~、まだ怒ってんのか、殴って悪かったよ~許して!な!あの時はアキラとかお前とか訳わかんなくてだなぁ」
酔って絡んでくるヨシに困ってしまうみずき。
「わかった、もう怒ってないから…」
寄りかかってくるヨシを引き放しながらそう伝える。
「ホント~?やった!よかったぁみずきに嫌われたらどーしよーかと思ってたんだぁじゃ~チューしよ~っ」
調子にのってキスしようとするヨシ。
みずきは…
「バカか!」
ヨシの頭を叩く。
「痛い~みずきに叩かれた~っ」
「はぁ…」
うずくまるヨシを見て溜息をつくみずき。
ヨシは酒を飲んでもある程度までなら正気なのだが、それ以上になると、この調子だ…。
記憶は半分くらい覚えているらしくて、後で謝りに来るのだ。
「さぁ、立って早く家に帰るんだ、俺だってそんなに暇じゃない」
促すみずきだが…
「えー、かまってくれよ~!暇じゃないのはなんでだよ…そっかぁみずき彼女できたんだもんなぁ…いいなぁ!」
まだ絡みたりないのか一人でしゃべり続けているヨシ。
きっと一人でいるのは、こんな調子だから仲間に置いていかれたんだな…と思うみずき。
「そーそー、みずきぃアキラの奴さぁ男と寝てまわってるってさ~最低だよなぁ…?」
「ッ!!本当なのか!?」
そのヨシの言葉に反応するみずき。
「おー、らしいなぁ、みずきどう思う?」
ヨシの問いに、ふと考えるみずき。
アキラのしている事。
考えると許せない気持ちでいっぱいになる。
「…許せない」
「ははは~許せん!酷い奴だ!嫌な奴だ!な~っ!」
「……」
「別れて良かったな!みずきっ、あー俺んち発見!帰ってきたぞ~っ」
みずきは仕方なくヨシを自宅まで送ってきたのだ。
「…さ、帰って早く寝ろよ」
「さんきゅ!またな~!」
勢いよく手を振ってあっさり帰っていくヨシ。
「……」
やっと落ち着いて考える事が出来るみずき…。
アキラの行動は、俺の考えを越えていて…気持ちの整理がすぐに出来ない。
しかし、ヨシと会ったことで少し気がまぎれたみずき。
心の乱れは落ち着いてくる…。
アキラの事。
真剣に好きだから…許せない気持ちにもなる。
アキラを見つけて、もう一度話がしたい。
どんなに避けられても、真実をアキラの口から聞くまでは…
諦めたくない。
みずきは強く心に誓う。
《揺れる心》終
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