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第66話《覚悟の再会》
12月に入り寒さも厳しくなってきたある日。
アキラは街を一人歩いていた。
ある目的を達成させるために…。
服装はジーンズのズボンに、白いトレーナー、その上に軽そうなコートを羽織っているありふれた格好だ。
綺麗な色の髪は後ろでひとつにまとめて結んでいる。
一人で動きはじめて一週間、やっとルードを見つけることができた。
いつも4、5人のグループで行動して…
そして、いつもきまって路地裏の空き家の前でたむろっている。
ルードは…あのままじゃ、絶対に幸せにはなれないから、せめてやり直そうと思った時に道しるべとなるように…。
ルードに渡す物を袋に詰めてコートのポケットに入れて、ルードに会いに足を進める。
恐いという思いはない…ただ、どんな別れになっても、あいつの前では涙を流さない、それだけは強く思うアキラ。
「ルード、久しぶり…」
軽く優しく話かける。
ルードは丁度、自動販売機で缶ビールを買っていた。
声を聞き、ハッと振り向いてアキラを見たルードだが、すぐ顔を顰め無視する。
アキラは……
「話、いいか?時間とらないから…」
めげずに笑って聞く。
「話す事なんか何もねぇ!」
そう言って缶を取って行こうとするルード。
「待ッ頼む、もう…二度と来ないから」
それでも無視するルード。
「……」
「話、聞いてくれねぇと帰らない、ついて行くぜ、いいのか?」
渡すまでは帰れない…。
「好きにすれば…殺されたかったらな!」
怒るルードだが、それでもついていくアキラ。
「話し聞けって…」
無言で細い路地を2.3回奥へ入っていった所に、ルードを待っていた仲間が声をかける。
「おせーぞ!…買って来たか?」
「…これでイイんスよね」
缶ビールを渡すルード。
「オッケー、わかってんじゃん」
「オイ!それより後ろの女、お前のか?」
仲間のひとりがアキラに気付いて聞いてくる。
「違いマスよ、それに、こいつ男ッスよ」
「あーマジ?」
「ルーのダチ?」
「知らないッスよ、勝手についてきたんスから…」
顔を背けてしれっと言うルード…
「オイッチビ、何ノコノコついてきてんだ?」
アキラにケンカ口調で聞いてくる。
「…オレはルードに用があるんだ。お前らガキには用はねぇよ」
強気な態度のアキラ。
「てっめェ!誰にモノ言ってんのかわかってんだろーな!」
ムカっとなり怒鳴る若者。
「知るか、てめーらみたいなバカの事なんかな…」
負けずと言い返すアキラ。
「なッ」
怒りをあらわにする奴ら…
「オイ!ルー、こいつの事、知らねーんだな、ならどーなってもイイよな!」
怒りながらルードに聞く不良の一人。
「……」
「いいッスよ…関係ないッスから…」
視線を向けることなくシレっと言うルード。
それを聞いてもアキラはふっと笑っただけだ。
「コラッてめぇ!口の聞きかたに気をつけろッ謝れよ!オラッ」
ひとりがアキラの胸ぐらを掴み言う。
「誰が謝るか!」
以然と強気だ…。
だかそのアキラの言葉に、ドスッと拳でアキラの溝おちを一発殴る不良。
「ッ痛…ケホッ」
続けてアキラの頭を持ち上げ顔を右手で殴りつける。手加減なしだ…。
ポタ、ポタッと、アキラの口の端から鮮血が滴り落ちる…。
顔を殴った手には金属リングをはめていたので、そのせいでアキラは顔を切ってしまったのだ…。
「ッぅ…」
すぐに血を拭うアキラだが…
さらに別のもうひとりが後ろからアキラを蹴飛ばす。
「まだまだぁ!なめてんじゃねーぞ、俺たちをキレさせたらどーなるか、思い知らせてやるぜッ!」
アキラを引きずり立たせ、二人がかりで暴行を加えている。
ルードはなぜか見ていられなくなり、仲間を呼んで足ばやにその場を立ち去る…。
嫌いな奴!…どうなろうが知ったコトか…
……でも、話くらい聞いてやればよかっただろうか…
俺のせいで…
心が揺れるルード。
「はじめの威勢はどーした!コラッ金くらい持ってんだろうな?」
男たちはアキラの財布に目をつける。
「オイオイ!マジかよ、8万入ってるぜ!ラッキー」
中味を確認して声を上げる奴ら。
アキラはあらかた暴行を受けて、その場に伏せている。
そして奴らは、金を全部抜き取り、何くわぬ顔で去っていく。
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