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第68話
いきなり聞かれあからさまに動揺してビクッと反応するルード。
「…知っているんだなッ教えろ!」
ルードの過剰な反応を見て確信したように問い詰める。
「うるせぇ!放せッ」
みずきに腕を掴まれ怒るルードだか…
「これは…どうした!?」
ルードの手についた血の跡…
アキラを突き飛ばした時についたものだ…
「……」
「…こっちへ来い!」
答えないルードを道の端に呼ぶみずき。
「知っているんだろう、アキラはどこだ?その血は何だ、教えろ!」
みずきも必死だ…
アキラが他の男と遊びまわっていると聞かされて…アキラに対してはじめて負の感情が心の中に芽生え…
絶対アキラに会って確かめたい…
話をしたいと心決めているのだ。
よく見るとルードの口と横髪と後ろにも薄く血がついている。
怪我をしていないルード、不自然だ。
「口にも血がついている、どうした…何をした?」
みずきは次々と聞いていく。
「うるせーよ!どうだっていいだろッ!」
振りはらって行こうとするルード。
「いいわけがないッ!何をしたんだ!」
再び腕を取り、かなり厳しく言うみずき。
「ッ…何もしてねぇよ、俺は…。奴が勝手に…」
顔を背けぼそっと話す。
「…アキラか?」
「そうだよ、奴が勝手にキスしてきやがったんだよっ」
口をぎゅっと拭いながら言う。
「……」
その答えに呆然としてしまうが、すぐに聞き返す。
「…なぜ、それで血がついたりする」
「……」
答えられず、目線をそらすルード。
「言えッ!なぜだッ」
……それは、アキラの血?
それ以上、怖くて考えられなくなり、怒鳴ってしまう。
「…そんなに怒鳴るなよッ、血がついてんのは、アキラが血だらけだったんだよッ!」
「…どうして…血だらけになる」
自分の考えがそのまま当たってゾッとする。
「…それは、俺のダチが奴を殴って…手に血がついたのは、俺が…突き飛ばしたからだよッ!」
「なッ、なん…て事を…お前は止めもせず、それどころか一緒になって突き飛ばしたりしたのかッ!」
驚きと怒りで我を忘れそうになるみずき。
「ルっせーなッ!殺されてもしんねぇって俺は言ったんだ、でも奴がついてきやがるから悪ィんだよッ!」
「っそれしか言えないのかッお前はッ」
バシッとあまりにもルードの言い方が頭にきて平手で殴ってしまう。
「ッてーなッ俺は悪くねぇ!」
言い返すルードだが…
みずきはすぐ頭を切替て…
「…アキラは、大丈夫なのか…?」
「わかんねぇよッそんなん、あれくらいで死ぬわけねぇだろッ!」
「…あれくらいって…どこだ、どこでやったッ!」
「…三丁目の角を曲がって3つ先の細道を入ったトコにある空き家の前だ、もォいねーと思うケド…」
拗ねたように言うルードに…
「ッ反省しろっ!」
怒りを通りこして呆れてしまう。
もう、ルードの事をかまっている余裕もない…
怒っている事すべて忘れるほどアキラの事が心配で…その場所に急いで向かうみずき。
そこへ着いて、あらためてガクゼンとする。
予想よりはるかに多い血が地面へ滴り落ち…壁に擦ったような血の手形が角まで続いていた。
すぐそれを追う。
薄暗い路地、人など通る気配もない。
途中で血の手形も途切れてしまっている…
アキラの姿はない。
「一体どこへ…」
こんなに血がでるほどの傷を負って、そう遠くへ行けるはずがない。
……ふと、気付くみずき。
ここは、あいつの家の近くだ…
まさかと思いつつ手がかりがありそうな家を目指す。
「バッカじゃねぇの?くくっはははっおかしーっ」
「そう笑うなって、オレだって命がけだったんだぜー、でも…ルードに言いたい事言えてスッキリした」
その声にハッとなるみずき。
勘は当たっていた、家の前で話していたのは、ヨシとアキラだ…。
直ぐには出て行き辛く、壁の影に隠れて様子を見る。
「しっかし!ぷぷっ、すっげー顔だな!オバケ屋敷で働けるぜテメー」
「アホか…ケホッ、なんかお前らの呪いとかって思ったぜ、ボロボロ…」
アキラはヨシの家の玄関先の石段に座って答えている。
「もーそれじゃぁ路上ナンパ出来ねぇな!」
笑いを堪えつつヨシは言う。
「もう…こっちから願い下げだって…」
頭を横に振り答えるアキラ。
「えー?そんなにダメなのばっか?」
「あたり前!ヘタ過ぎて困ったもー…」
溜息をつき話す。
続けて…
「みずきには伝えたんだろー、なら、もうイイ…ケホッ」
そう付け足す。
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