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第77話

「な…何言ってんだよっ、今までオレがしてきた事、忘れたわけじゃねぇだろ、もう元通りになんてなれるわけない!お前は、もうオレの事好きでもなんでもないんだよっ!」 みずきの言葉を拒否し、怒鳴るように言い返す。 「…忘れる訳ない、けれど、それを含めたおまえと、また、やり直したい…」 アキラの心の中… 望んでしたことではなかったから… 落ちつかせるように静かに語りかけるが… 「何言ってんのかわかんねぇよッ、も、ほっておいてくれよっ…」 スッと目線を合わすのが恐くて横を向いている。 「ほってはおかない…ヨシにだいたい話は聞いた、俺はお前の本当の気持ちが知りたいんだ…」 アキラに優しく聞く。 「…そんなのわかんねぇよ!ただ、お前がいると恐いんだ、苦しいんだ…っ」 首を振り言う。 優しさが怖い… 依存したら…置いてかれるのは自分だから… 「え…恐い?」 思わぬ答えが帰ってきて驚くみずき、言葉が続かない。 (なぜ?オレは今まで、アキラを大切にしてきた、怒鳴った事も数えるほどしかないし…恐がられる理由が思いつかない) 「…俺が?俺のどこが恐い、お前に何かしたか…?」 知りたくてそっと聞いてみるみずき。 「…何もしてねぇけど恐いんだよッ、オマエは悪くねぇ、オレのモンダイなんだ。だから…もう、オレの心を揺るがすような事、言わないでくれよッ」 みずきと瞳を合わせ、半ば頼むような口ぶりのアキラ。 「…アキラ」 ツラそうな顔をしている… みずきは言葉が出なくなってしまう。 アキラは続けてみずきに言う。 「お前がオレにやさしくすればするほど…オレは駄目になっていく、頼って甘えて…ひきょうな人間になってしまうんだよ」 「アキラ、誰が甘えてはいけないと言った?誰が頼ることがヒキョウだなんて言った?誰もそんなことは言っていない、アキラは甘えていいんだ…俺を頼ってくれればいい、俺はそれが嬉しいんだから、何もかも一人でやる必要はないんだ…」 教えるようにアキラに優しくいい聞かせるみずき。 「ばかやろ、そんなこと、言われたって…」 アキラは、俯いて言葉を続ける。 「…もう、決めてたんだ。一人で自由に生きていくって…、だから…お前とも、別れて、ヒドイ事言って…せっかく悪者になったのに…どうして嫌いになってくれないんだよ…、オレの立場なんかないじゃねぇか…っ」 震える声…涙をこらえながら思いを溢す。 「アキラ…お前を嫌いになれるわけないだろう。どんな事をしようと…俺はお前の事を一瞬でも忘れようとした自分が許せないと思うほど、好きなんだ。たとえお前が一人で歩いていったとしても、俺は傍についていたい、もう自由を束縛したりしないから…前のように一緒にいさせてくれ…」 みずきに優しく語りかけられ、その温かさに、また涙が出そうになるアキラ。 サッとみずきに背をむけてしまう。 「だめだ…できない、オレは…」 そして否定の言葉を伝える。 「…アキラ」 みずきは悲しくなるが… 「……お前はッ、一時でも、オレを憎んでたんだろッ!そんな事聞かされて…お前の言ってる事信じれるかよっ!…オレは、そのうち何もできなくなる、そしたら絶対、お前嫌になる、絶対考え直す時がくるんだ…その時になって置いていかれるのは嫌なんだよッ…病気が原因でこれ以上、みじめな思いをするのは…嫌、なんだ…」 それだけを必死にコトバで続ける… 泣きたくないのに、無意識に肩を震わせてしまう。 「アキラ…」 ふわっと覆われる感覚に驚くアキラ。 みずきが、後ろから… そっと抱きしめてきたのだ。 やさしく、やわらかく…。 「俺は、どんなコトがあろうとも、アキラを置いていったりしない…嫌になったりはしない。俺がアキラを許せないと思ったのは嫉妬なんだ…自分以外の、しかもみず知らずの男と関係を持った事が、信じられなくて…本当は憎んでなんかいない、アキラを裏切ったりしないから…」 その華奢な身体を包み込み… 触れてその温かさを感じながら、アキラに伝えるみずき。 「…信じてほしい」 アキラは、俯いたまま…その言葉を聞くが… 「…うそだよ、そんな…そんなの嘘だ、本当に何もできなくなるかもしれないんだ…SEXや2人で歩いたり…話すことさえ出来なくなるかもしれない。一緒に居たって楽しい訳ねぇだろッ」 頭を振り、みずきを押し退けるようにアキラはみずきの方を向く…。

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