82 / 213
第82話
「…ごめん、でも…アキラの心に出ていくと言う思いがあったら…俺は、安心出来ないんだ。俺は、どんな壁があろうとアキラと一緒に暮らしたい、そう思っているから…」
「…うん」
みずきの強い言葉に、素直に頷くアキラ。
でも、すぐにクスクス笑いだしてしまう…。
「ふっふふっ」
「…アキラ?」
急に笑いだしたアキラを見てどうしたのかと名を呼んでしまう。
「フッ、ごめ、…かっこイイこと言うなぁと思って…」
瞳をあわせて、ぽつりと感想。
改めて言われると、なんだか…はずかしく思えてくる。
「…えっと、その…」
照れ隠しをするような表情のみずきに、アキラは…その頬を、ビーと両手で伸ばす。
「ぁ、アキラ…!?」
アキラの行動に驚きながらも、みずきは微笑む。
いつものアキラらしいイタズラだ…。
アキラは、くるっとみずきに背を向け、そのまま身体をみずきに預けるように寄りかかる。
立ったまま、アキラを後ろから抱きかかえるように支えるみずき。
「…みずきはさ、いつもオレに優しいだろ?…だから、さっきみたいに思ってるコト強く言ってくれたら…」
ポツリポツリと、話すアキラ…
「…ウン」
頷いて聞いているみずき…
「……、うん、なんか…安心する。前は、おまえ、オレの言う事…なんでも聞いてくれて…今もだけど、でも…オレに強く意見とかできなかったろ?」
聞くように話す。
みずきは思い出しながら聞いている…
「…そう言うの、なんか対等じゃないし…嫌だったんだ。みずきも、気に入らない事、たくさんあるだろうから…遠慮せずに言ったらいいからな…」
抱きしめてくれるみずきの腕に触れながら…優しくそう伝える。
「…あぁ。俺は…元々、話すのが苦手で、言葉にするのも勇気がいったけど…」
みずきは…優しくアキラの手に指を重ねながら…みずきのペースで話す。
アキラもおとなしく聞いている。
「今は…前よりも言葉が自然に出るようになった、本当の気持ちを伝える事ができるようになった…アキラが、傍に居てくれるから…」
それは本心からの言葉だ…
アキラのおかげで自分は変われた。
みずきは思うが…
「…違うよ、オレは何もしてない。そう変われたのは、みずき自身の力なんだ…」
「…それは」
「そう、思って欲しい…オレは、みずきにもっと自信を持ってもらいたいから…」
すっと身体を離しながらみずきを見る。
「…自信?」
アキラと向き合い、瞳を合わせ、ポツリと聞くみずき。
「そう。人のおかげじゃなくて、自分の力…これからはそう思って自信つけていきな…その方が、ずっとカッコいいから…」
にっこり笑いかけられ…
「…あぁ」
アキラの優しいコトバに、みずきも頷く。
「なら良し!」
みずきの応えを確認して一言いい、みずきを置いて部屋のまん中へ歩いていく。
「アキラ!」
優しく呼びかける。
「ん…?」
そっと振り返る。
ともだちにシェアしよう!