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第86話

「…そうか、アキラは学校では、どうしているんだ」 「どうって?フツーにおとなしくしてるよ」 首をかしげ答える。 「…そうか」 アキラのことになると過剰に心配してしまう。 「何?」 不思議そうに聞いてくるアキラ。 「ううん。…アキラ、夕食はどうする?冷蔵庫そろそろ空だな…疲れてるようなら材料買ってくるが…」 気遣うように聞くみずき。 「大丈夫…オレも買物いくよ、せっかくだし」 すっと立ち上がりながら答える。 外出は好きな様子のアキラ、行く気になっている。 「あぁ、バイク、二人乗り大丈夫か?」 「だいじょーぶ、みずき安全運転だし、店までそう遠くないから…着替えていくから待ってな…」 そう言うと私服を出して、制服を脱ぎはじめる。 「…あぁ」 返事をしてドギマギと視線を外す。 素肌をさらすアキラを見ていると…心の中にある欲を抑えられなくなるような気がして… (アキラを…抱きたい…) そう思う心… でも、アキラはルードたちに暴行を受けて傷だらけだったのだ… だから、アキラの身体が良くなるまではと…キス以上のことは要求できないでいたみずき。 みずきはちらっとアキラを見て、ぽつりと呟く。 「…アキラ、怪我…だいぶ良くなったな…」 「ん、治ってきたな。跡に残るかなとか思ったけど…」 ニコっと笑って答えてくれる。 「…よかった」 「はい、おーけい!行こうか…」 そう促すアキラ。 「あぁ…」 アキラを気遣いながら出かけていく。 ……そうして、2人は買い出しを済ませ、家に戻ってくる。 「ふーっ、寒かった~!」 真っ先に暖房をつけるアキラ。 寒がりらしいアキラ、暖房の前を陣取っている。 「…えーと、シチューでよかったな?」 買物袋を抱え台所まで直進するみずき。 今日、作るものを確認しながら買った物を片付けている。 「あ、野菜細かく切るのオレやるから、みずきにまかせたら倍時間かかるしな!あ、でも玉ねぎは切って…」 アキラはその場を動かず、声をかける。 「あぁ…わかっているから…」 みずきも怒る様子もなく、もくもくと作業を続ける。 しばらくしてアキラもみずきの元へやってくる。 「えっと、じゃ…作ろっか、ちゃんとエプロンつけろって言ってるだろ、服汚れるから!」 みずきをみて叱るアキラ。

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