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第87話

「…あぁ、すまない…忘れてた」 指摘され素直に謝る。 「ま、いいけど…みずき案外うっかりしてるよな」 くすくす笑うアキラ。 「…そうだな」 その可愛い笑顔につられるように、みずきも微笑み答える。 「認めるかフツー?」 アキラはまた、笑っている。 たわいない会話をしながら、夕食を2人で作って食べる。 そんな日常的な事でも幸せに感じるみずき。 ずっと続いて欲しい…そう願う。 食事…あいかわらずアキラは食事量が少ない。 みずきの1/4ほどしか食べない。 「本当に、もう食べないのか?」 いつもそれが不思議でしかたないみずき。 「おう、もう腹いっぱい、…あ、気にしなくていいってオレ昔から少食だろ?」 それはそうだが…食べる量が少しでよく一日体力が持つな…と、心配と感心してしまう。 アキラが食器を片付けようとした、丁度その時、珍しくみずきの家の戸がノックされる。 「ん?誰か来た?」 アキラは聞いてくる。 「あぁ、見てくる…多分勧誘関係だろう」 そう思って追い返す理由を考えながら戸を開く… しかし、目の前に居た人物は… 「ッ!ルード…」 驚き、何も言えないでいるみずき… するとルードがボソっと。 「…あの、アキラ来てない?」 そう聞いてくる。 「っ!!…き、来ていない!」 反射的にそう答えてしまう。 なぜルードが今さらアキラを探しているのか… 会わせたくない。 その心が先に立ち、嘘の言葉を返してしまう。 「そっか…どこにいるか知ってる?」 さらに問ってくるルード。 「…アキラを今さら探してどうするつもりだ!」 キツい口調で問う。 「…話があるから、探してる」 ぽつりと話す。 「…なんの話があると言うんだ!帰れッ!」 アキラに暴行して傷つけたルード… その平然とした姿に怒りを感じて怒鳴ってしまうみずき。

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