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第88話
「…怒んなくったっていいだろ、アキラ、家にいないから…」
「みずき?どうしたー?誰が来たんだ?」
ルードの言葉の途中で耳に入ってきた声。
「!!」
ドキッとして振り向くみずき。
「アキラっ!いるじゃん…嘘つきッ!」
そうみずきに言い、奥を覗こうとするルード。
みずきは慌てて…
「行かせない!」
「…!」
外に出て、バタンと戸を閉める。
「よく…探しに来れたなッ、アキラがオマエのせいで、どれだけキズついたか…苦しんでいたか、分かっているのかッ!」
怒りに任せて感情をぶつけてしまう。
「…そんなこと言われたって、俺だって…」
口ごもるルード。
「俺だって何だッお前は自分勝手に逃げていただけだろう、人をキズつけて、アキラを傷つけて…違うか!?」
図星な事を言われてルードも…
「ッだから、俺も謝ろうと思って来たんじゃないかっ!!」
そう、大きな声を上げてしまう。
その声に反応したのは、部屋の中にいた。
ドアの内側まで来て…
「…ルード、なのか?居るんだな、みずき…開けろ」
戸を身体で抑えているみずきに向かってアキラは言う。
「アキラ…」
みずきは、逢わせたくないその人の名を呼んでしまう。
身体が動かない…アキラの頼みでも?
「…みずき」
もう一度、静かに呼ぶアキラ。
みずきは抑えている手をぐっと握って、唇を噛む…
そして、すっと戸の前から避ける。
悔しそうな顔も一瞬だけ…
顔を伏せ、出てきたアキラには隠してしまう。
すっとアキラと瞳が合って…みずきは…
「中にいる…俺がいると、話しにくいみたいだからな…」
そう、ルードを見て言う。
そのまま、アキラの返事を待たずに、家に入ろうとするみずき…
アキラは…
「あぁ、ワルい…みずき…っうわ!」
その姿を振り返り、みずきに軽く謝るが…
突然、ルードが、ぎゅっと抱きしめて来たので、驚くアキラ。
みずきも、振り返り…それを目にとらえるが…何もいえず、振りきるように家の中へ消える。
「ル、ルード!?」
「アキラっ、ごめん!俺…間違ってた。あいつらと居て悪いコト平気でやって、アキラに怪我までさせて…本当にごめんなさい」
ルードはアキラを抱きしめながら、謝りの言葉を口にする。
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