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第91話
「じゃ、どうして俺に触らないんだよ、前みたいに抱きしめてくれないんだよ!?」
それを聞いてアキラは…
「それは、バカ…触っていいんなら触るよ、エンリョしてんだろオレだって、まーたイヤがられたら嫌だしな…ワカレよ、それくらい」
ルードの横髪に、そっと触れて言う。
「あれは…俺、びっくりして…そうだ、ケガ大丈夫か?」
思い出して聞くルード。
「あぁ、まーな。顔とかだいぶ良くなっただろ」
軽く笑いながら答える。
「アキラ、俺、アキラのキス…嫌じゃなかった。なんか…なつかしくて、なのに俺…」
頭を下げるルードを見て肩に手を置き…
「大丈夫、ケガもかなり治ったんだし、オレは一度もルードを責めてないんだから…」
優しく言う。
「アキラが言わなくてもみずきが言うだろ、俺、あんなみずきは嫌いだ…」
怒ったように言うルード。
「…ルード、オレがイイったらイイんだよ、気にするな!」
アキラもそう言いきる。
「…ウン、アキラ…どうせ家に帰らないんなら俺の借りてる部屋にくればいいじゃん、な!」
思いついたように言うルード。
「えっ…」
思いもよらない言葉に、すぐ答えられず、問い返してしまうアキラ。
「アキラ?」
困惑するアキラを見てルードは促すように名を呼ぶ…。
「…ルード、それは…できない…」
そして、否定の言葉を悲しい思いで発するアキラ。
「どうして!?みずきより俺の方が好きなんだろ、だったら俺と居た方がいいじゃんか!何で出来ないんだよ?」
またもや怒り調子になる。
「オレ、お前に言ったろ…どんなに愛してても、もうこれ以上、お前を追いかけたりしないって、自分で決めた事、破りたくないんだ…迷惑もかけたくないし…」
最後の方は小声で伝える。
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