92 / 213
第92話
その言葉を拾いルードは…。
「別に、迷惑じゃねーって、俺、アキラ好きだぜ、居てくれたらスッゲー、心強いんだよ!」
「…ありがとう、その言葉、もう一度聞けて嬉しい…でも、オレが決めた事だから、な…」
まっすぐルードを見つめて、決意を変えないアキラ。
「…こんなに言ってもダメなんだな…」
少し悔しそうに、ぽつりという。
「…ごめんな、ルード」
今の自分は、同じ家に住んでいる者に、病気を隠し通せるほど余裕がない…
それに、みずきにだって辛い思いをさせてしまうから…。
今までの事を考えると、とてもオレはルードと暮らすことなんか出来ない…。
でも…
「…本当は、一緒に居たい」
心が揺らぐ。
「なんだよそれ、じゃ来ればいいだろ?」
言葉を出すが、アキラは沈黙してしまう。
それを見てイラつくように舌打ちしてルードは…。
「じゃ、俺、時々ここへ来るからな、居るんだろ?」
「あ、そうだな。居るよ」
微笑して頷く。
「なら、遅れた分の勉強も教えてくれよ!」
頭を下げ頼むでもなくそう言うルードに…
「おう、勉強ならまかせろ、得意だから」
頷き、返事を返す。
「オレもすぐ追い付いて、追い越してやるから!」
ニッと笑い、鼻をこすり言うルード…
「楽しみにしてるよ、お前、物覚えいいからな。そうだ、ルード、オレのケータイナンバー覚えてる?来るとき電話して欲しいんだけど…」
「なんで?」
「居ないかもしれないだろ」
「そっか…でも居なくても待ってるけどな」
納得したように頷くルード。
「ダメダメ、待たすわけにはいかないしな…」
…それに、ここはみずきの家だから、会うときは伝えてからでないと、黙って会う事はしたくない…
「わかった、なら、今日は帰るな、また来るよ!」
片手を上げて言うルードの言葉にアキラも微笑み返し…
「あぁ、気をつけてな」
自然に手を振る。
ともだちにシェアしよう!