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第92話

その言葉を拾いルードは…。 「別に、迷惑じゃねーって、俺、アキラ好きだぜ、居てくれたらスッゲー、心強いんだよ!」 「…ありがとう、その言葉、もう一度聞けて嬉しい…でも、オレが決めた事だから、な…」 まっすぐルードを見つめて、決意を変えないアキラ。 「…こんなに言ってもダメなんだな…」 少し悔しそうに、ぽつりという。 「…ごめんな、ルード」 今の自分は、同じ家に住んでいる者に、病気を隠し通せるほど余裕がない… それに、みずきにだって辛い思いをさせてしまうから…。 今までの事を考えると、とてもオレはルードと暮らすことなんか出来ない…。 でも… 「…本当は、一緒に居たい」 心が揺らぐ。 「なんだよそれ、じゃ来ればいいだろ?」 言葉を出すが、アキラは沈黙してしまう。 それを見てイラつくように舌打ちしてルードは…。 「じゃ、俺、時々ここへ来るからな、居るんだろ?」 「あ、そうだな。居るよ」 微笑して頷く。 「なら、遅れた分の勉強も教えてくれよ!」 頭を下げ頼むでもなくそう言うルードに… 「おう、勉強ならまかせろ、得意だから」 頷き、返事を返す。 「オレもすぐ追い付いて、追い越してやるから!」 ニッと笑い、鼻をこすり言うルード… 「楽しみにしてるよ、お前、物覚えいいからな。そうだ、ルード、オレのケータイナンバー覚えてる?来るとき電話して欲しいんだけど…」 「なんで?」 「居ないかもしれないだろ」 「そっか…でも居なくても待ってるけどな」 納得したように頷くルード。 「ダメダメ、待たすわけにはいかないしな…」 …それに、ここはみずきの家だから、会うときは伝えてからでないと、黙って会う事はしたくない… 「わかった、なら、今日は帰るな、また来るよ!」 片手を上げて言うルードの言葉にアキラも微笑み返し… 「あぁ、気をつけてな」 自然に手を振る。

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