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第96話
先に口を開いたのは、みずき…
アキラの温かさで大分落ちついて話す。
「…アキラ、ルードは何を話しに来た?」
その問いにアキラは少し首をかしげ…
「うーん…、まず謝ってくれた、あと…学校の事、それから…オレたちのこと…」
呟くように言う。
「…俺たちの事?」
そのまま聞き返す。
「そ、一緒に住んでいるだろ、なんでかって…」
みずきはアキラを見て…
「…言ってないんだろ?俺と付き合ってること…」
静かに聞いてみる。
「ごめん…でも、知ってたよ、みずきがオレの事、好きだってこと…なんとなくわかったらしい…」
こくん、と頷きながら言うアキラ、続けて…
「オレが病院からいなくなった時、必死にさがしてくれたんだろ?」
「……」
複雑な気持ちのみずき。
「…アキラは、ルードのことが…まだ、好きなのか?」
馬鹿な質問だな…と自分で思いながらも問ってしまう。
「うん…」
チラっと視線をあわせて、迷いなく答えるアキラ。
「……」
やるせない思いになってしまう。
頭を少し下げて、視線をそらす。
(…自分だけのものには、ならない…それはわかる、けれど…)
心で空しく思うみずき…。
アキラは、ふぅと息をついて話はじめる。
「…みずき?オレさ、ルードに一緒に住まないかって誘われたんだ…」
「!?…一緒に?」
えっ?と驚いて顔を上げる。
「ウン…『俺の事好きなら、俺のかりてる部屋にくればいいじゃん』ってさ、…すごくウレシかった…」
微笑みながら話すアキラ。
その言葉を聞いて、みずきは突然アキラの肩を両手で持ち、否定するように…
「ッダメだ!行かせないッアキラは俺の…」
そこまで言って、不意にコトバが続かなくなるみずき。
(…束縛してしまう、アキラの自由を…どうしても…)
アキラを放し、片手で口を抑え横を向いてしまう。
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