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第97話

「…オレの…何?みずき…」 少し続きが気になってアキラは聞いてみるが… みずきは軽く頭を横に振り… 「…なんでもない」 ぽそっと答える。 アキラはルードが好きなんだ… 俺は何を言っているんだ。 行かせないって…俺はアキラの何だ? アキラは優しさで俺に付き合っているだけ… アキラの一番好きな奴が戻ってきて、今の俺はアキラの荷物にすぎないだろ… それでも… (ム、なんでもないってこと、ないダロ…!) みずきの態度に少しムカついてアキラが試すように… 「…な、みずき、オレがルードと住みたいって言ったら、どうする?」 意地悪っぽく、みずきに言う。 「!!」 一番聞きたくなかった言葉… すぐには答えられないみずき。 「…なぁ?」 なかなか答えないみずきに、催促するよう、声をかける。 「………そう、したいなら…いい」 小声で、ゆっくり答えたみずき。 そのコタエにアキラの方が、ア然としてしまう… (ウソだろ?…いいって、…どういう…) 当然、止められると思っていたアキラ。 (…なんだよそれは、オレをルードに取られてもいいってことか?そのテイドじゃねぇだろ…オレへのキモチ、信じてイイって言ったじゃねーか…) 一人、心の中で腹立たしく思う。 「…は、はは。マジ、いいのか?オレ、行っちゃうぜ…ルードのトコ」 なぜか、もう一度問いかえしてしまう。 もし出ていくとしても、ルードのトコには行かないけれど…前、オレが考えていた一人で自由に暮らしていくってコトができる。 でも、この心に湧くモヤモヤした感じはなんだ? みずきがオレのコト裏切るような事言ったから…? 裏切る? 裏切られたくないのか…? ……この状況、オレの不利になることなんてない…なのに、なんで? オレが離れたくないのか…? 自問自答してしまうアキラ。 「……」 またも答えられないみずき…沈黙する。

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