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第100話
しかしアキラは、煮えきらないみずきに苛立って、溜息をついて言葉を返す…。
「はぁ…オマエ、オレとルードをくっつけたいのか?」
「っ違う、断じて違う!」
はっきり否定するみずき。
「なら、オレだけを見てろ、さっきも言ったけど、オレはまだルードのコトが好きだし、一緒に居たいとも思うけど、でも、もう、恋愛対象として見ないように決めたから、お前が心配しなくてもオレから何かしようとか思わないし、気、遣うことは何もない、分かった?」
アキラは言い聞かすようにみずきに伝えるが…
みずきの心配は、その反対…
「…ルードが、ルードがお前に何かしたらどうする?」
静かに伝えてみるみずき。
「は?何かって…、バカ、アイツにはそんな趣味はないし、何言ってんだよ…あるワケない」
アキラは怒ったように言い返す。
「なぜ、そう言いきれる、アキラは綺麗だし、知らない仲じゃない、何かしてきてもおかしくない…」
みずきは真剣に言うが…
「…ホント怒るぜ、そんな奴じゃないって…」
キツい瞳で睨まれ、それ以上、何も言えなくなってしまう。
(…それでも、心配なんだ…俺が家に入る前、アキラに抱きついたルードが、俺を睨んだその目は…『オマエにアキラは渡さない』という瞳だった…)
心で思うみずき、アキラはふと息をつき。
「お前だって、あいつの事、尊敬してたじゃねーか!あの心を…」
怒りぎみに言う。
「…それは、あの頃は、本当に凄いと思った。でも今のアイツは…信じれない…」
顔を下げて伝えるが…
「オレには、違って見えないけど…」
「…あの目は、違った…」
(俺に見せたあの表情は…)
尚も、くいさがって言うみずきの顔を見て…、
怒っていたアキラも…
「お前も…変わったんだよ。そう思うのは、オレの存在が変えたんだ…」
視線を落とし呟く。
「え…っ」
急に、口調を和らげるアキラに驚く。
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