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第101話
みずきが、オレに逆らうことなんてそうない。
それだけ、心配してるってコトだよな…
「…わかったよ、そんなに言うなら、気をつけてみるから…オレもさすがにルードにやられるのは…嫌だし…」
考えてみた事もなかったので、改めて考えてみると、そう言いきれるのか不安になるアキラ。
ルードのキスに喜んでしまう自分…
もし、求められて完全に拒否できるのだろうか…オレに…
ルードの言うことなら聞いてしまうかもしれない。
アキラは視線を下げ迷うように黙ってしまう。
そのアキラの沈黙の意味が、みずきにも伝わる。
「アキラ…」
ルードが好きだというアキラ…
その嫌と言う気持ちとの矛盾…
アキラも、心に迷いがないハズがない…
でも…俺は、アキラを渡したくない…。
それだけは誰にも譲りたくない。
それが、俺の気持ちをアキラに押しつける事になっても…。
「アキラ…」
もう一度、名を呼ぶみずき。
アキラは無言で顔を上げ瞳をあわせる。
「……」
そっと、アキラの頬に触れ、親指で可愛い唇をなぞる。
そしてゆっくりと、みずきは瞳を閉じて…やさしく唇を重ねる。
「……」
アキラはみずきのキスを受けて静かに思う。
オレは、みずきのこと、本当はどう思ってるんだろう。
みずきのコト…真剣に考えた事ってなかった…
みずきは、ホントいつも真剣で、オレの気持ちを考えてくれてる。
オレは?
みずきの気持ちを考えたコトある…?
みずきに好かれているのをいいことにオレは…みずきの想いを無視して、傷つけるようなコトを平気で言ってた。
普通なら…愛想つかされても何も言えないようなオレなのに…。
このひとは…いつもオレの味方で居てくれる。
本当に大切なのは…
一番身近にいるひと…?
「アキラ…」
みずきは離れた唇で囁くように言葉を出す。
「…俺は、まだまだ頼りないかもしれない…けれど、アキラの事を大切にしたいと思っている、この気持ちは誰にも負けない自信があるから…」
どういう言葉をかけたら一番いいのか…
俺には最良の言葉にまとめる事は出来ないけれど…
今、思う気持ちでアキラを自分の方に向かせたい。
みずきは本心からの思いを伝える。
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