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第103話

みずきは…唇を離しアキラが瞳を開ける前に、スッと何気にアキラの身体を抱きかかえる。 「っ!ぅわっ…!」 突然、目を閉じたまま足の支えを失ってかなり驚くアキラ… みずきの服にしがみつく… しっかり支えているので落とすことはないけれど、そのアキラの慌てぶりに笑みが漏れるみずき。 「っびっくりしたぁ!…お前な、急に抱えるなよ!」 笑うみずきにおもいきり怒る。 「うん…ごめん。アキラは、抱えられるのに慣れてないようで…可愛いよ」 2年ほど前にも、風邪をひいたアキラを、こうして抱きかかえたことがあった…、その時も今みたいに慌てて驚いていたな…。 ふと思い出しながら言ってみるみずき。 「…バカ」 照れているのか、みずきの腕の中でツンと答え、顔を赤くする。 みずきはそのままアキラをベッドまで運ぶ、以前よりアキラの身体は軽いように思ってしまう。 静かにアキラをベッドに降ろす、瞳を合わせてアキラは… 「…そう言えば…前にも、こうやって運んでもらったコトあるな…オレ」 そう思い出して言っている。 「…あぁ、よく覚えてるよ」 あの頃から考えると、今こうしてアキラと暮らしている事が希少なものに思えて… みずきはベッドに身体を預け、アキラの髪へ触れる。 「なぁ、みずき…?」 軽く聞く。 「何…?」 瞳を覗き優しく聞き返すみずき。 「…オレ、まだBOUSでバイトしてるだろ?…どう思ってる?」 前から気になっていたことを今聞いてみる。 「…それは…」 辞めれるのなら今すぐ辞めてほしい… けれど、そう簡単に辞めれるハズはないBOUS… 自分も働いていたからよく判る。 アキラに二度と罰撮影なんかさせたくない… だから、BOUS卒業までは、仕方がないことなんだ。 BOUSがなければ俺たちも出会っていなかっただろうから…都合のいいようにはならない。

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