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第118話《譲れない想い》
――翌朝。
ベッドへ寄り添うように眠っている二人。
先に目を覚ましたのはみずき、今日も朝から仕事があるので、アキラを起こさないよう、そっと布団から出る。
アキラが起きて寒くないよう暖房をつけ、身支度をすませて…
自分とアキラの朝食用のパンの準備と目だま焼きを焼くみずき。
アキラと暮らし始めて身についた習慣、以前はカップ麺か何も食べないのがあたり前だったけれど…
アキラにそれを勧めるわけにはいかないし、何も作らないとアキラは飲物だけで朝を過ごしてしまうので、元々少食なアキラの貴重な一食は何としても取らせなくては…
危機感にも似た思いで作ってしまう。
そうこうしているうちに、朝食の用意が出来上がる、フライパンを片付けている頃になるとアキラが目を覚ましてくる。
「…おはよー」
まだ眠そうに、ひと声かけて洗面所へ消えるアキラ。
「おはよう、アキラ」
みずきも言葉を返してソファに座ってアキラが来るのを待っている。
アキラは、顔を洗うと髪を一つにくくりあげながら…部屋の端にある小さなキッチンへ足を進める。
その動きをなにげに見つめながら優しく言葉をかける。
「…今日、目だま焼き焼いたけど、食べるか?」
「うーん…」
アキラは考えるように唸ったまま、湯を沸かし珈琲をいれている。
みずきの分も作って、ソファの方へやってくる。
「…はい、みずき」
コーヒーカップをひとつ渡しながらみずきの隣へ座る。
「ありがとう…」
不安そうに答えを待つみずき。
「ふ、そんな顔しなくても、せっかくだから食べるよ。出来れば次はサラダがいいな、なんて…」
微笑み珈琲を口にする。
「あぁ、わかった」
安心したように頷き。
待っていて…と、そっと優しくアキラの唇にキスを落として…キッチンへ向かう。
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