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第119話
そして食パンを焼いて持ってくるみずき。
それを一緒に食べはじめる。
いつもアキラは食パン一枚の半分を食べるので、みずきは残り半分と一枚を食べる。
「うん、けっこううまくなったじゃん」
目だま焼きに手をつけながら、感想を口にするアキラ。
「…前よりは、食べれるものになったよな…」
以前は、黄身が半熟だったり崩れていたりして…、でもなんとか形になってきた。
「大丈夫、おいしいから…でも、無理して作らなくてもいいよ?仕事前なのに…だるいだろ?」
そう聞いてくるアキラに、みずきは…
「昼、一緒に食べられないから…一緒にいる時間はアキラが食べているところを見ないと落ち着かなくて…」
苦笑いしながら答える。
「ふ、大丈夫。ちゃんと食べてるよ昼も。赤ちゃんじゃないんだし…」
心配しすぎ、と含んで言葉をだすアキラ。
続けて考えるように話し出す…
「…みずきが、お父さんになったら、子ども溺愛しそうだよな、なんでもしてあげてさ…でも、それじゃ、本当の意味で子どもの為にはならないんだよ、自立心が育たない…」
チラっとみずきの瞳を覗いてみる。
「…アキラ、俺は、子育てしてるんじゃないよ」
優しく言葉を返す。
「そうだけど…一応、教えとく…」
将来ならないとはかぎらないから…。
今、こうしてみずきと居ることが…本当にみずきにとっていい事なのか…
考え出したらとりとめないけど…
こうやって、みずきと暮らしていく時だって…あってもいいよな…。
アキラの言葉の意味を勘繰ってやや疑問の顔つきなみずき…
「みずき、早く食べないと遅刻するぞ!」
アキラがそう急かすと…
「えっ…」
慌てて時計を見るみずき。
「あと10分!」
さらに急かす。
「あぁ、本当だ…アキラ、今日は学校ないんだよな…」
急ぎ、残りの食事を口に運びながら聞くみずき。
「うん、ガッコはあと終業式だけ…」
そんな様子を見てクスッと笑い、頷き答える。
「…今日はどこにも行かないよな」
また尋ねる。
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