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第120話
「…まぁ寒いからな、ずっと家にいるよ…」
微笑み答えるアキラ。
「そうか…分かった。片付け…」
食べ終わった食器を流しに持っていくみずき…
「洗い物くらいするからそこ置いてて」
座ったまま声をかけ…ゆっくり立ち上がる。
「ありがとう」
「いいって、どーせヒマだし…はい」
みずきに近づきながら、黒い小さいリュック型のバッグを手渡す。
「あぁ、それじゃ…行ってくる」
微笑みながら…
「うん、行ってらっしゃい、気をつけてな…」
みずきは可愛いアキラの頬に触れ…
「あぁ…」
そっと唇づけを交わす…
「出来るだけ早く帰るから…」
「おう、待ってるよ…じゃな!」
頷いて、みずきを見送るアキラ。
みずきのアパートで一人過ごす。
外は寒いので出歩く気にはならないし…今日は家でおとなしくしとこう。
そう思い食事の片付けをして、ソファに戻る。
みずきが帰って来るのは夕方5時30分くらい…
ヒマといえばヒマだけど、ひとりは慣れているのでそんなには気にならない。
そうこうしているうちに、昼時になる。
「うーん…昼なににしようかなぁ」
昼食の内容を考えていた丁度その時…
アパートの戸がノックされる。
誰かきた?
押し売りかなにかかな…
しばらく居留守で様子を見ようと考えたアキラ…
すると…
「おーい、俺だよ!アキラいないの?」
「ルード?」
その声にすぐ反応するアキラ、戸へ近づく…
「ルード?」
分かっていても、ドアごしに聞いてしまう。
「おう、…アキラ!開けて?」
その答えを聞いて、そっとアキラは戸を開ける。
そこにいたのは…昨日会ったばかりのルード。
「いたいた、上がっていい?焼きそば作ってやるよ、食う?」
ルードもアキラの姿をとらえてニコっと笑い、そう聞く。
「あ、うん…食う、上がって」
一瞬ここがみずきの家であることを忘れて答えてしまうアキラ。
ルードの料理は以前からプロ並にうまい…
それを武器にだされてはYESと答えずにはいられない。
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