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第134話
「…ひとつ言っておく…」
みずきはそのままルードを睨み…
「…アキラは、俺の恋人だ!誰にも渡すつもりはない…」
キツイ口調で続けるみずき。
「俺はアキラの事を愛しているんだ…たとえルードだろうが、アキラに手を出すことは許さない!」
それだけ言いきると、ルードの手を放し後ろへと身体を押す。
「っ…」
ルードはバランスを崩してソファへ落ちる。
アキラは驚きで呆然と見ていることしかできない…。
そしてみずきは、アキラの方へ向き…
「それから、アキラ…」
ぐいっとアキラの腰に触れ身体を引き寄せながら…片手を振り上げる。
アキラは殴られるのかと身体をびくっとさせ瞳を閉じるが…
みずきは軽く優しく触れるようにパシっとアキラの頬を打つ…
物理的な痛みは少ない…けれど…。
みずきはそのままアキラに優しく口づけをする…。
静かな時が流れ…
そっと離れる身体。
「…み、ずき…」
驚いて瞳を開き、名前を呼ぶ。
そこには優しく見つめる瞳…
重なり合って…
「…アキラと今、付き合ってるのは俺なんだ、いくらルードがよくても…俺だけを見て欲しい。俺は…ずっとお前だけを見ているんだから…」
真剣にそう伝えるみずき…。
「……」
「……俺の気持ちも、分かって欲しい…」
もう一度その瞳を見つめ、まっすぐな想いを伝える…
「…ん、ごめんなさい」
真剣な…みずきの言葉に、うつむいて謝るアキラ…
「…愛してる、アキラ…」
愛しい…
その肩を抱きよせながら囁くみずき。
「……ちぇッ」
その様子を見ていたルードは、舌打ちするように…
「分かったよ…そんな本気、俺にはなれない、その気持ちに負けたし…もうアキラ誘ったりしない…でも、みずきがいなくなったら貰うからな…」
本気のみずきと張り合うのが割に合わなくて…やれやれといった感じでため息をつく。
「それはないよ…一生放さない」
みずきはそう答える。
「ハイハイ…負け負け!俺そこまで思えない…」
ルードの言葉にみずきは…
「中坊には無理だろう」
そう突っ込む…
「けっ!大人きどってさ、俺だってそんなガキじゃねーよ!」
ふん、と鼻をならし言い返す。
「なら…本気になれる相手、探したらいい…」
アキラ以外に…と言外に含んで話すみずき。
「…すげーイヤミ!もう帰るよ…!」
クルッと身体を返す。
「ルード…」
去っていくルードを見てアキラが声を出す。
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