133 / 213

第134話

「…ひとつ言っておく…」 みずきはそのままルードを睨み… 「…アキラは、俺の恋人だ!誰にも渡すつもりはない…」 キツイ口調で続けるみずき。 「俺はアキラの事を愛しているんだ…たとえルードだろうが、アキラに手を出すことは許さない!」 それだけ言いきると、ルードの手を放し後ろへと身体を押す。 「っ…」 ルードはバランスを崩してソファへ落ちる。 アキラは驚きで呆然と見ていることしかできない…。 そしてみずきは、アキラの方へ向き… 「それから、アキラ…」 ぐいっとアキラの腰に触れ身体を引き寄せながら…片手を振り上げる。 アキラは殴られるのかと身体をびくっとさせ瞳を閉じるが… みずきは軽く優しく触れるようにパシっとアキラの頬を打つ… 物理的な痛みは少ない…けれど…。 みずきはそのままアキラに優しく口づけをする…。 静かな時が流れ… そっと離れる身体。 「…み、ずき…」 驚いて瞳を開き、名前を呼ぶ。 そこには優しく見つめる瞳… 重なり合って… 「…アキラと今、付き合ってるのは俺なんだ、いくらルードがよくても…俺だけを見て欲しい。俺は…ずっとお前だけを見ているんだから…」 真剣にそう伝えるみずき…。 「……」 「……俺の気持ちも、分かって欲しい…」 もう一度その瞳を見つめ、まっすぐな想いを伝える… 「…ん、ごめんなさい」 真剣な…みずきの言葉に、うつむいて謝るアキラ… 「…愛してる、アキラ…」 愛しい… その肩を抱きよせながら囁くみずき。 「……ちぇッ」 その様子を見ていたルードは、舌打ちするように… 「分かったよ…そんな本気、俺にはなれない、その気持ちに負けたし…もうアキラ誘ったりしない…でも、みずきがいなくなったら貰うからな…」 本気のみずきと張り合うのが割に合わなくて…やれやれといった感じでため息をつく。 「それはないよ…一生放さない」 みずきはそう答える。 「ハイハイ…負け負け!俺そこまで思えない…」 ルードの言葉にみずきは… 「中坊には無理だろう」 そう突っ込む… 「けっ!大人きどってさ、俺だってそんなガキじゃねーよ!」 ふん、と鼻をならし言い返す。 「なら…本気になれる相手、探したらいい…」 アキラ以外に…と言外に含んで話すみずき。 「…すげーイヤミ!もう帰るよ…!」 クルッと身体を返す。 「ルード…」 去っていくルードを見てアキラが声を出す。

ともだちにシェアしよう!