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第136話《幸せな瞬間》

12月半ば過ぎ… ルードの急な訪問事件も、なんとかおさまり… また、いつものような日常に戻る。 みずきとアキラだけの静かな暮らし… 今日はコンビニ夜間の仕事はお休みなので、ゆっくり夕食を作っているみずき。 今日は三品のおかず作りに挑戦しているのだ。 そんなみずきをソファから見つめ… 「おーい、手伝おうか?」 そう声をかけるアキラ… 「いや、待って…何とか」 自分だけで作りあげたい… 真剣な瞳で台所に立つみずき。 「みずきだけで作らなくてもいいのに」 などと言いながらも、悪戦苦闘している姿をおもしろそうに笑う。 「…料理は、作らないと、うまくならないんだろう?」 みずきはアキラに聞いてみる。 「…まぁ、切ったりするのは慣れたら早くなるけど、味とかは個性があるしな…」 うーん、と少し考えて答える。 「少しでも早く作れるようになったら…アキラとのんびりする時間が増えるから」 優しく微笑んで、わざわざ近寄ってきてから伝える。 「…ばーか」 そんな、はずかしいセリフよく言えるよなぁ…と付け足してからかってみる。 「…アキラ」 やはり指摘されると恥ずかしく思って、みずきは顔を赤らめる。 「ふ、そう言えば…クリスマス・イヴ仕事休みとれた?」 ついでに聞くアキラ。 「あぁ、なんとか無理言って、他の店員も休みたい日みたいだからな…難しかったな…」 やや首をかしげながら答える。 「なんか仕事したかったみたいな言い方…」 ぽつりと言い返すと… 「違う違う、毎年用事のない俺が仕事に出てたから…店長に聞かれたりして…」 慌てて首を振る。 「…ちゃんと恋人がいるって言った?それとも恥ずかしくて言えなかった?」 微笑みながらアキラは聞く。 「…言ったよ、大切な人がいるって、恥ずかしいなんて思わないよ…」 優しく、くちづけしながら囁く。 しかし… 「ふ…みずき、ナベこげてない?」 微笑みながら気付いた事を聞いてみるアキラ。 みずきは、ハッとして台所の方を見ると… たしかに焦げくさい匂い… 「あッ!そうだ、」 慌てて鍋へと向かう。 その姿を見てまた笑うアキラ。

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