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第137話

「ふ!…弱火でしないからだよ、ホント料理に向かない奴…」 そう言いアキラは立ちあがり、その事態を手伝いに、みずきの元に行く… その途中、滅多に鳴らないみずきの家の電話が鳴る。 「あ、電話だ…みずき!」 アキラは呼ぶけれど… 「ちょッ…今、手が離せないな…」 コゲなべと格闘しているみずき。 「…でようか?」 鳴り続けている電話を見て聞く。 「あぁ、すまない…すぐ行く」 そう慌てながら答える。 それを聞いて電話の受話器をとる。 「…はい、鈴鹿です」 とりあえず、この家の主人の名を言うアキラ。 『あれ?…あなた誰?』 返ってきた声は、若い女の人の声… 本来、出るべきみずきが出ないので、驚いている様子。 「え…っと…」 そちらこそ誰?みたいな気分で言い詰まってしまう。 『あ、あの…みずきいる?』 こちらの返事を待たず、みずきをさらっと呼びすてにする…このヒトは、一体…。 「…あの、どなたですか?」 つい聞いてしまう。 『ふふ、優里って言えばわかるわ…』 相手は、なぜかクスクス笑って言葉を返してくる。 アキラは腑に落ちない顔で、急いで手を拭きつつやって来たみずきに… 「…はい。なんか、ゆうりって女の人…」 受話器を渡しながら…瞳で誰だよ、と問うアキラ…。 しかし、みずきはアキラの言った名を聞くと… 「あぁ」 軽く頷き… 「すまない、ありがとう」 笑顔で受話器を受け取り、話はじめる。 アキラは気になり、みずきの様子を見てしまう。 「もしもし…」 『あ、みずき?久しぶり』 「久しぶり、俺からも連絡しようと思ってたんだけど…」 『いいのよ、私の方は変わりないけど、元気にしてる?』 「あぁ、なんとかやってる」 慣れた様子で話し始めるみずき…

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