138 / 213

第139話

『会うの楽しみにしてるから、またね』 「あぁ、また…」 軽く頷きそのまま会話を終えるみずき。 ずっと気になっていたアキラ… 「…誰?今の…」 聞かなくてはおさまらなくて…問いつめる。 「あぁ、姉さんだ…」 微笑みながら答える。 「えっ…」 それを聞き言葉を無くす。 「25日に職場に来るって言うから…」 「……」 無言になるアキラを見て… 「アキラ?」 どうしたのかと名前を呼ぶ。 アキラは、お姉さんにヤキモチやいてしまったコトが、とても恥ずかしくなって…顔を少し赤らめてしまう。 「なんで、急に来るなんて言うんだよ!」 照れ隠しにさらに不機嫌な口調でみずきに問い詰める。 「…それは」 なんだかアキラを怒らせてしまったのと、言いにくいのとで、言葉が詰まってしまう。 「何?」 そう急かすアキラ。 これ以上アキラを怒らせないよう素直に答えることにする。 「…クリスマス近くになると、コンビニの店員は、サンタクロースのような服を着て仕事をしてるんだ…それを毎年、姉さんの子どもが見に来てて…」 言いにくそうに説明する。 「えっ!…みずきが?赤と白のサンタの服?」 ぱっと機嫌を直して聞き返す。 「…あぁ」 気恥ずかしそうに俯き頷く。 「うそ、何で教えてくれないんだよ、見にいくのに…」 面白そうに笑って言うアキラ。 「見られたくないから言わなかったんだよ…」 首を傾げながら答える。 「どーして?」 アキラもみずきを上目遣いに見て聞く… その可愛い攻撃に、またも言い詰まってしまいそうになる。 「…それは、…まだ女子店員が着るならいいけれど、俺が着ても…」 サンタの服を着なくてはいけないということに、まだ少し抵抗があるみずき… そう首をかしげてしまう。 「…でもさ、似合いそう、オレ凄く見てみたいな~」 見にいく気満々のアキラ。 「う…アキラがそういうなら、恥ずかしいけど…見に来てもいいよ」 「やった~!いつ行こうかな」 軽くみずきの腰に腕を回し抱きつきながらアキラは喜ぶ。

ともだちにシェアしよう!