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第139話
『会うの楽しみにしてるから、またね』
「あぁ、また…」
軽く頷きそのまま会話を終えるみずき。
ずっと気になっていたアキラ…
「…誰?今の…」
聞かなくてはおさまらなくて…問いつめる。
「あぁ、姉さんだ…」
微笑みながら答える。
「えっ…」
それを聞き言葉を無くす。
「25日に職場に来るって言うから…」
「……」
無言になるアキラを見て…
「アキラ?」
どうしたのかと名前を呼ぶ。
アキラは、お姉さんにヤキモチやいてしまったコトが、とても恥ずかしくなって…顔を少し赤らめてしまう。
「なんで、急に来るなんて言うんだよ!」
照れ隠しにさらに不機嫌な口調でみずきに問い詰める。
「…それは」
なんだかアキラを怒らせてしまったのと、言いにくいのとで、言葉が詰まってしまう。
「何?」
そう急かすアキラ。
これ以上アキラを怒らせないよう素直に答えることにする。
「…クリスマス近くになると、コンビニの店員は、サンタクロースのような服を着て仕事をしてるんだ…それを毎年、姉さんの子どもが見に来てて…」
言いにくそうに説明する。
「えっ!…みずきが?赤と白のサンタの服?」
ぱっと機嫌を直して聞き返す。
「…あぁ」
気恥ずかしそうに俯き頷く。
「うそ、何で教えてくれないんだよ、見にいくのに…」
面白そうに笑って言うアキラ。
「見られたくないから言わなかったんだよ…」
首を傾げながら答える。
「どーして?」
アキラもみずきを上目遣いに見て聞く…
その可愛い攻撃に、またも言い詰まってしまいそうになる。
「…それは、…まだ女子店員が着るならいいけれど、俺が着ても…」
サンタの服を着なくてはいけないということに、まだ少し抵抗があるみずき…
そう首をかしげてしまう。
「…でもさ、似合いそう、オレ凄く見てみたいな~」
見にいく気満々のアキラ。
「う…アキラがそういうなら、恥ずかしいけど…見に来てもいいよ」
「やった~!いつ行こうかな」
軽くみずきの腰に腕を回し抱きつきながらアキラは喜ぶ。
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