140 / 213
第141話
「恥ずかしいなんて思ったことはないよ?…アキラの恋人でいる事が誇りだし…自慢したい」
そうアキラに触れながら静かに伝える。
「……」
そのみずきの瞳を見る。
「…俺はアキラのことを真剣に考えてる、だからいつかは紹介するつもりでいたんだ…けど、姉さんは遠くに住んでて…なかなか会えないから、会える時にと思って…でもアキラが嫌なら無理にはいわないから…」
けれど…できれば…という気持ちで、みずきは続けて言う。
「…うん、わかった。知らないぜ、男だってバレても…」
みずきの真剣な瞳を見てアキラは頷き…そう言い返す。
「…気にすることはないよ、大丈夫。俺が好きになったアキラだから、姉さんもきっと好きになってくれる筈…」
来てくれるという事が嬉しくて微笑んでアキラに伝える。
「…なんだよそれ、そういう問題?」
アキラもクスっと笑みを顔に戻しながら…首を傾げる。
「…そういう問題」
みずきは優しく頷いてアキラに、そっと口づけする。
「……」
みずきは…真剣にオレの事を考えている。
でもオレは…違う。
みずきとは…いつかは、別れなきゃならない。
ただそれが、今じゃないだけで…
そう思っているから本気で好きにもなれない、みずきとの気持ちのズレがあるから考えてしまう…。
「アキラ…もう少し、待って、食事美味しいの作るから」
みずきはそう優しく囁く。
アキラはくすっと笑って…
「本当に?ナベ、焦げさせてるみずきなのに」
そう、からかう。
「う…他のは上手く作るから…」
イタイところを突かれて言い詰まってしまう。
「一人で作ろうとしないでさ…一緒につくろ?」
そっと手に触れて、首を傾げてみる。
「えっ」
ドキッとしながらもそのひとの言葉を待つ。
「…みずきの考えもわかるけど、二人で作った方が早いし…待ってるの退屈なんだ。オレが、体調悪い時は頼むけど、そうじゃない時は二人で作った方がいいと思うぞ…?」
そうみずきの瞳を覗く…
「…アキラが、負担にならないなら…俺もその方がいい。一緒に過ごせる時間が増えるから…」
柔らかな指を握りながら、優しい言葉を贈る。
「本当みずきって変わってるよな…ま、みずき一人に料理任せるの不安だし…」
オレといたら疲れそうだけど、一緒にいたいと言ってくれるから。
軽く首を傾げながらも、そう笑って付け足す。
「それは…そのうち上手くなる筈…」
料理のことは、あまり自信を持って言えないみずき。
ともだちにシェアしよう!