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第150話《クリスマス・イヴ》

それから数日が経ち――。 今日は12月24日…クリスマス・イヴ… アキラが街に出たいと、以前から言っていたので、仕事を休んで今日は、二人でデートする予定。 いつもラフな格好のアキラだけれど、出掛ける時は…一段と可愛い服装。 あまり服を持ってきていないアキラだが、よほど楽しみにしていたのか上機嫌で支度をしている。 ニットセーターに白いコートやマフラー、手袋、ぼうしなど完全防備なアキラ… それに比べて、みずきの防寒着といえば、茶色のコートと手袋くらいなのだった。 「よし!準備OKっ」 アキラは、早く行こうと急かすように言う。 「あぁ、行こうか。身体…調子はいい?」 やはり体調面が気になるみずきは、出掛ける前にもう一度聞く。 「だいじょうぶ」 にこにこ笑って答える。 そんなアキラを見ていると自然にみずきの顔も微笑む…。 「アキラは、出掛けるのが好きなんだな…」 そう得心した様子で言ってみる。 「うん…一人で街中とかオレ行けないから、すごく嬉しいんだ」 ふたり、家を後にして話しをしながらバス停へ向かう。 「そうだな…一人で出掛けないほうがいい、身体も心配だし…」 そう頷くとアキラは… 「まぁそれもあるけど…」 アキラの言葉の語尾を拾いみずきは言う。 「けど?…あぁ、後…一人だとアキラはナンパにあうから、やはり一人では出歩かない方が絶対いい…」 みずきの妙に納得した言い方に軽く吹き出して笑ってしまう。 「フっ…それもあるけど、長いコト外出してると、トイレに困るんだよ…」 笑ったまま言う。 「えっ…?」 何を言い出すのかと聞き返してしまう。 「店とか駅の男子トイレ入ると、お前間違えてるみたいな目でジロジロ見られるからヤなんだよな…だからオレ学校ではトイレ行かないもん」 「えぇっ!?」 かなり驚くみずき… それを見てアキラは… 「ふ、うそうそ。全然行かないわけじゃないけど、行くときは誰もいない時にいくんだ…」 からかって、みずきの反応を楽しみながら話す。

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