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第151話
「あぁ、そうだよな…」
それでは身体に悪いだろうとか色々思っていたので少し安心するみずき。
「だから今日は、みずきに、中に人がいないか見てもらってからいくことにするから、ヨロシクな!」
そう頼んで微笑む。
「あぁ、分かったよ」
確かに、アキラみたいな外見、性別不明人物が男子トイレに入ってきたら、自分でもびっくりするだろう…と、妙に納得する。
アキラは、自然にみずきと腕を組みながら…
「…今日はさ、オレ映画観て、服買えたら満足なんだけど…他、行きたい所ある?」
首をかしげ聞く…
「…俺は、特にないけれど…」
アキラの可愛い仕草にドキドキしながらも、なんとかみずきは首を傾げながら答える。
「…せっかくオレとのデートなのに行きたいトコないんだ、ふーん」
面白くないなぁ…と言うように呟くアキラを見て…
「えっ、あ、そうじゃなくて…俺はあまりデートとか慣れてないから行きたい所が分からないんだ…アキラとならどこでも嬉しいから」
少し慌てながら、みずきは説明する。
「そっか…じゃ、オレが全部決めていいの?今日の予定…」
「そのつもりだったから…いいよ、俺が連れ回してアキラを疲れさせてもいけないから…」
そう思っていた事を伝える。
「うん、そんな事いってると、みずきが逆に疲れても知らないから…」
クスッと笑って言う。
「平気だよ、俺は。たとえ疲れてもアキラが楽しめるのなら俺はそれでいい…」
みずきは優しくアキラの髪を撫でて応える。
「…ふーん、変だな、みずきって、自分の為に何かしたいって気持ちはないのか?」
軽く首を傾げて、また問う。
「たぶん、アキラに尽くすことが、俺がしたいと思う事だから…充分自分の為になってるよ」
「それ…少し違う気がするけど…ふぅ、寒っ…」
バス停で待っている間…
はく息も白く、気温が低いことを分からせる。
不意にアキラは寒がる様子を見せる。
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