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第154話

「んでな…そこのクリスマスツリー見に行きたいんだ、大きいからすぐ判ると思うんだけどさ、遠いからなかなか見に行けなくて…」 「クリスマスツリー?いいよ、何かあるのか?」 聞き返すみずきに… 「ううん、特に何も…見てみたいだけ。そうだ、ツリーみたら酒でも飲みに行く?」 軽く聞くアキラだが… 「…お前の状態が良かったらな、疲れてるのに酒飲んで発作でも起したら大変だから…」 「…大丈夫だって、もしかしてオレ、顔色悪かったりする?」 首を傾げながら聞いてくる。 「…うん。…そんなに目立たないけれど、朝よりは…」 もともと、色白なアキラの顔色は分かりづらいけど、なんとなく疲労感は判る… 無理はさせられないから… 「うーん、そっか…じゃ、やっぱり薬飲もうかな…」 少し眉間にしわを寄せていう。 「薬、飲んで来てないのか?」 朝飲んで来てると思っていたので、驚いて問い返す。 「うん、発作抑える頓服はね。だってさ…それ飲むと眠気がくるし、出来るだけ飲みたくないんだよな…」 ふぅ、と息をついて続けて… 「でも、麻痺とか発作とか起こったら、みずきに迷惑かけてしまうからなぁ…飲むか…」 気が進まなそうに袋から白い粉薬をひと袋取り出す。 「なんで…そんなに飲みたくないんだ?」 楽になるなら飲んだ方がいいのでは…?と、思い聞いてみるみずき… 「ん?…薬って癖になるとよくないし…それにこの薬、すっげーマズいんだよ…」 苦々しい顔をして伝えてくる。 「…不味い?」 首をかしげるみずき。 「うん、ちょっとだけ指に付けて舐めてみな…」 そう薬の袋を開きオブラートに包みかえる間にすすめるアキラ。 みずきは首を傾げて尋ねる。 「大丈夫…なのか?オレが舐めても…」 「ま、あんまり良くないけど、少しなら大丈夫だろ、すぐ出せば…ほら」 この苦さを分かってもらおうと…アキラは笑顔で勧める。 「…あぁ」 薬局で売っているような、変わりない粉末の薬… 指先に少しつけて舐めてみるみずき… 「!!…ッ、ゔ!」 口に含んだ瞬間、思わず口の辺りを片手で押さえてしまう。 「…何だ、コレ…」 ほんの少量だったのだが、今までに味わったことのない強烈な苦みというか吐き気をもよおす不味さが口腔内に充満する。 すぐに水を飲む。 そのまま言葉を失う。

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