157 / 213
第158話
「…でも、あの兄貴ならキスされてもいいかも…」
笑いながら冗談で言う瞬助。
「ばか…」
またも頭を叩かれる。
「イテ…冗談だって、なぁ…声かけてみようぜ?」
それにもメゲず、瞬助はアキラに興味を持ったらしく近付こうとする。
「えっ、待って…」
コウジは慌てて、瞬助を引き止める。
「え、何で?」
振り返って聞き返す。
「…それは…」
そう聞き返されると何で止めたのか…
理由がいっぱい有りすぎて詰まるコウジ。
アキラは僕より綺麗だから、面食いな瞬助を取られてしまうんじゃないかって、不安で…単純に会わせたくないし…。
僕自身…アキラに会うのは久しぶりで、健次さんもアキラの住んでいる場所が分からないって心配してたくらいだから…
アキラに何を話していいのか分からないんだよね…。
そう頭の中で思って…
「ほら、アキラひとりじゃないし、邪魔するのはよくないよ…」
気乗りしないので、瞬助にはそう伝えるけれど…
「…あ、ホントだ、茶髪のチョイ恐わそーな奴が傍にいる…近付きにくいなぁ…」
残念そうにする瞬助…
続けて…
「…あれ、コウジの兄キの彼氏?」
そんな質問をしてくる。
「さぁ…でも前にも見たことあるよ、結構、礼儀正しい人だったけど…」
首をかしげ答える。
(兄キの彼氏)
みたいな微妙な質問も流して答えられるようになった自分が少し悲しいコウジ。
「お前、アイツと話したことあるのか?いつ…?俺、聞いてないぜ…」
少しムっとなって聞き返してくる。
「いつって…少し前に参考書取りに家に帰った時だよ。アキ兄に会いにきてたから顔あわせて少し話しただけで、わざわざ言うほどの事じゃないでしょ…」
はぁ、とため息をつくコウジ。
瞬助は自分のコトは棚に上げて、僕の行動には、こうして細かくチェックを入れてくる。
そんなに僕が信じられないのかな、って少し腹がたつけど。
ま、お互い様なんだよね…きっと…
ともだちにシェアしよう!