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番外編 三人の日常
家に帰った帳
お帰りなさいと浬が出迎える
リビングからはいい匂いがする
「ご飯出来てるから食べよ?
八尋は今日任務でいないけど」
「ああ」
あれから再び二人と一緒に住むことになった帳
八尋が協会に復帰してここが近いからと半ば強引に越してきた
帳は迷惑だと言いつつ昔に戻ったと内心嬉しかったりする
まぁ決してそれを表には出さないが
帳は一緒に食事をし浬が施設で今日あったことを報告した
施設とは浬と同じように吸血鬼と人との間に生まれた孤児達がいる場所だ
その子どもたちは吸血鬼という理由で親からも見放され家を失った子達
血が必要ながら血を得ることが困難な彼ら
誰からも与えられなければ人を襲うか理性を失って討伐隊に狩られるしかない
そんな彼らに血をと居場所を与えるのがこの施設なのだ
ここでは浬と同じ半吸血鬼の大人達も働いている
だから半吸血鬼の子供達も安心できる
そこで浬もそこで働いているのだ
「でね血が足りないんだ
だから職員の人たちが分け与えてる
何とか血の確保できないかな?」
協会から施設に血を提供しているものの足りてはいなかった
血は協会の運営する病院から確保しているのだが
新鮮な血は中々確保しづらかった
「そうか
なら協会から血の提供を義務付け集めよう」
「いいの?」
「仕方あるまい
でなければ我々の討伐の仕事が増える」
取り合えず血は協会の人間から集めることにした
きっと吸血鬼同士で血を啜ればいいと反発の声が多いだろうが子供等でそれらをさせるなど酷だし
子供達を狩るよりはマシだろう
これも自分の仕事だと帳は淡々と考える
それが藜やルシェル、浬の意志でもあるのだから
「ありがとう帳」
「ただいま~
あ~マジ疲れた……」
「お帰り八尋」
吸血鬼の討伐から戻ってきた八尋は帰ってくるなり
ソファに倒れ込んだ
そして浬に水を要求し持ってきてもらう
それを一気に飲み干しふぅと一息ついた
任務から戻ってくると毎回これだ
帳は鍛え方が足りないと愚痴っているが
浬はそれだけ大変なのだと労いの言葉をかける
帳からは甘やかすなと怒られるが
「浬~癒してよ
あ、帳が帰ってくるまでヤるか!!」
「え?って
うわっ!!」
このまま帳が帰るまで浬に癒してもらう八尋だった
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