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番外編 藜の苦悩②
何とかここの村に泊めてもらえる事になった藜一行
早速村長から話を聞いた
そしてその話から見えてきたのは
「夜道を歩いていたものが見たそうだ
目を赤く光らせ血を啜る鬼を……」
話はこうだ
夜遅く歩いていた人が何やら不審な物音がするのに気づきそっとその方向を覗いてみたら
吸血鬼が人の首筋に牙を突き立て血を吸っていたと言うことらしい
ただ血を吸われた者の中には誰一人として死んではいなかった
その証言を聞きたいと村長に話すと
ならば診療所へ行けばいいと案内してくれた
そこには吸血鬼に襲われた人が入院しているのだと言う
そしてついた先の診療所
外観はあまり綺麗とは言えない上に小さい
こんな所で対処できるのかと不安になる程だ
中へ入ってみると外観とは違い小綺麗にしてはある
しかしそれでも小さな診療所と言う事実は変わらない
そんな中に入所している患者が何人もいると言うのだから驚きだ
小さな診療所だ
人手などそれほどいないのだろうと思うし
「そちらが鬼退治にやって来た方々ですか?」
すると一人の男が現れた
若く美しい男性だ
そして一目で分かった
彼は人間でないと言うことが……
しかしながら人の気配もする
恐らくは藜と同じ半吸血鬼だろう
「藜さんあいつ……」
「まぁ待て
彼が犯人と決まった訳じゃない」
そう、吸血鬼と言っても彼が村人を襲っているとは限らない
もしかしたら他に吸血鬼が潜んでいるかもしれないからだ
しかしながら他に吸血鬼の気配はしない
彼を注意深く見る必要があるのは間違いない
それにしても彼は堂々と我々の前に出てきた
一体どういうつもりなのか……
彼は犯人ではないのか……
どうもここは胡散臭い
「どうも初めまして
僕は柳瀬久木 です
ここの医院長をしています」
「聖城藜です
お若いのに医院長とは凄い」
「いえ、他に医者がいないからですよ」
このへんぴな田舎村
医者もこんなところにわざわざ来ないと言う
しかしながら医者を必要とする人々は大勢いる
だから彼はここで医者をしているのだと言う
それにしても………
「先生今日は調子がいいんです」
「先生うちの子を診てもらえませんか?」
「先生」
彼はここの村人にとても慕われていた
それに端正な顔立ちなうえ優しく明るい
若い女性のみならず年を取った老婆までも彼に夢中になっていた
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