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第2話
浬は幼い頃吸血鬼達に監禁されていた所を藜に助けられた。
それ以来浬は藜と共に行動している。
浬は両親がいないし何も知らない。
身寄りもなく吸血鬼と人の混血の浬に居場所など無いことは藜はよく知っていたからだから藜は幼い浬を傍に置き育ててきた。
こうやって自分の血を与えて……
その藜も浬と同じ吸血鬼と人の混血だ。
だから浬の気持ちはよく分かる。
自身もどちらとも言えない、あるいはどちらとも言える血故に孤独な日々を過ごしていた。
藜の場合は人に害成す吸血鬼を裁く組織に所属し吸血鬼を葬り数え切れない程殺す事で信頼を得て人の側に居ることが出来た。
現在は組織を抜け放浪し浬を傍に置いてからも一定の場所には留まらない。
しかしながら浬の場合は藜は自分のように生きることは無理だと思っている。
浬は純粋無垢で優しい子だ。
他者を、いくら自分を疎む相手であろうと殺す事など出来ない子であろうと藜は自分の傍に置いている。
この子は自分の元でしか平穏には暮らせないだろうから。
「さて、どうしたものかな……」
「藜?」
ホテルのベッドで浬に膝枕をして浬の頭を撫でながら夜の景色を窓から眺める藜に言葉の真意の分からない浬はただ藜の顔を見つめた。
不安気な浬に気づいた彼は優しい眼差しを向け額にキスをし何でも無いよと答える。
何か嫌な予感がする……
藜はたまに浬を残し何処かへ出掛ける事がある。
そして帰る度に大量の血の臭いがする。
それは血を飲んできただけではこんなに臭いは感じないからそれ意外何かあるのは浬も気づいていた。
けれど聞いてしまえば藜は自分の元から居なくなってしまいそうで何も聞くことはなかった。
浬は不安で仕方がなかった。
藜に助けられ、藜しか頼れる者はいない。
藜に依存してしまっているのだ。
だから彼が居なくなってしまったらと考えると怖くて怖くて仕方がない。
「ねぇ藜、藜は居なくならないよね?」
「………そうだね」
不安でそう聞くといつもと同じように藜は微笑む。
分からない………
藜の本心が………
いつも何かを考えているようで、でも決して心の中を晒さない。
だから余計に不安になる。
彼等は孤独だ。
人にも吸血鬼にもなれない哀れな生き物。
彼等が辿り着く先は一体何があるのだろう___?
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