6 / 135

第6話

結局藜の居場所が分からない為浬は帳に引き取られる事となった。 帳に連れられ彼の車で彼の家に向かった。 着いた家は大きな一軒家。 中もとても広くて物はそんなに多くはないが高そうな家具ばかりでとても綺麗な家だ。 こんな家今まで見たことがない浬は恐縮してしまい固くなってしまっている。 帳に適当に寛いでいていいと言われてもどうすればいいのか分からない浬は取り合えず椅子に座った。 そして帳は何処かに消えてしまい暫くして飲み物の入ったコップを持ってきた。 「ココアだ、血でなくて悪かったな。」 「えっと……いや……ありがとう」 帳からそんな冗談を言われどうしていいか分からないが取り合えずお礼を言う。 それより浬は藜の事が気になってしょうがなかった。 「ねぇ藜は……… 帳は藜とどんな関係なの?」 藜ととてもよく似た彼。 浬の質問に帳は飲みかけのコーヒーをテーブルに置き一度大きく息を吐いた。 「……彼は、藜さんは私の祖父だ。」 「祖父?」 「ああ、知っていると思うがあの人は半分吸血鬼だ。 年を取るのが非常に遅い。 吸血鬼の血が混じっている私も既に齢50。 それほど吸血鬼の血と言うのは強いものだ。」 藜が自分と同じなのは浬も知っている。 けれどそんなにも年齢が上だと言うことは知らなかった。 でもだから二人は似ているのだと納得した。 しかし気になるのはどうして藜は自分を置いて消えてしまったのかと言うことだ。 「藜はどうして戻ってこないの?」 「………あの人は元々協会の一員だった。 だがいつからか協会を抜け放浪しているようだがどこで何をしているのか……… 出来ればあの人の力を借りたい。 どうにか探し出したいのだがな。」 帳は藜を追ってあの街へ行ったが既に蛻の殻。 だがそこに彼の分身の蝙蝠が帳の元へやって来た。 その蝙蝠は帳がその蝙蝠を認識すると何処かへ飛んで行ってしまう。 まるでこっちに来いと誘っているかのようだった。 それを追いかけて行った先に吸血鬼が浬を襲っていたのを見つけた。 最初から帳たちがやって来るのを見越して浬を任せるつもりのようだった。 「あの人は何を考えているのか分からない。 何故あれほど吸血鬼を憎んでいるのにここに戻ってこないのか…… お前はあの人が何をしているのか知っているか?」 「………分からない。 何も話してはくれなかったから………」 「そうか………」 血の繋がった帳が分からないのなら自分だって分かるはずもない。 吸血鬼を憎んでいると言う事実も初めて知ったのに。 考えたら藜の事は何も知らないと浬は思う。 あんなに大好きで大切な人なのに何も知らないのだ。

ともだちにシェアしよう!