7 / 135
第7話
帳と話をして改めて藜の事をもっと知りたいと思った。
そして早く会いたいと強く願った。
「浬……確かそんな名前だったか?」
「え、俺?うん浬だよ……
藜が付けてくれた。」
「そう……」
藜に助けられた時浬は自分の名前を知らなかった。
だから藜が浬と言う名を付けた。
とても嬉しかった。
初めて誰かに名を貰い呼んでくれる。
その頃からモノクロの世界が色が着いたように明るくなった。
「年齢は?」
「知らない、多分12か13?
今年で13なんだと思う。」
「……そうか。」
帳は浬の境遇を察したのかあまり何も言わずただ頭を撫でた。
そして帳は浬に部屋を案内した。
今いるリビング、キッチン、トイレ、バスルーム……何処も綺麗で広くて部屋も多いため迷子になりそうだ。
そして最後は浬の部屋となる場所。
「今日からここがお前の部屋だ。
好きに使っていい。」
「あり…がとう……」
ベッドと机と戸棚しかないその部屋は浬には広すぎて落ち着かない。
帳は必要な物があれば後で入れると言った。
「それとお前の食料の血だが……」
そう、吸血鬼にとって大切な食事。
吸血鬼は幼い内はまだ血をあまり必要としないが徐々に血を飲む量が増える。
そして今の浬ほどの年齢になると月に数回は飲まないと生きていけなくなる。
血が足りなくなると吸血鬼は理性を失い。
人の形も取れず醜い化け物と化し人を襲うようになる。
吸血鬼は普段吸血鬼同士で血を分け与えているが吸血鬼から迫害される半吸血鬼はそうはいかない。
だから浬は今まで藜の血しか飲んだことはない。
しかし藜は浬の血は飲まなかった。
だから一体彼はどうしていたのかは知らない。
「血は、私のを飲め。
他の奴を絶対襲うな、いいな?」
「分かった。」
浬がそう言うと帳は自らの腕に傷を付け血が滴り落ちる。
差し出されたそれに浬の瞳は赤く染まり帳の血をペロリと舐める。
藜以外の血は初めてでまた違った味がする。
浬は腕の血では足らず今度は帳の首に手を伸ばし、そして首筋に牙を突き立てる。
「ん……ん……はっ………」
夢中で帳の血を吸っているとそれまでだと帳に止められる。
吸いすぎてしまえば人は死んでしまう。
帳は吸血鬼の血を継いでいる為人程弱くはないがそれでもこれ以上はダメだと浬も分かっている。
こうして帳との生活が始まった。
ともだちにシェアしよう!