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第9話

帳に引き取られ早三年。 浬は今年から高校生となる。 帳の元へ来て中学校へ通っていた。 ずっと藜に勉強を教わっていたため授業には難なく着いていけていたが学校生活は大分苦労した。 まず人とのコミュニケーションが苦手なのと何より、陽光が苦手で朝中々起きれなかったり外での体育の授業は無理で病弱と偽って度々保健室に行っていた。 だが保健室と言うことは怪我人も来ると言うこと。 血の臭いを嗅ぐと当てられしまうこともあった。 帳から十分な血を貰っていたのと、もし人を襲えばそれなりの制裁を与えると釘を刺されていたから血が欲しいという衝動は抑えられたが瞳が赤く染まる為ベッドで布団を被って元に戻るまでまで寝ていた。 夜帳が協会から帰ってくる。 いつものように浬は玄関まで出迎える。 「お帰りなさい。」 「ただいま。」 食事はいつも浬が作って帳が帰ってきてから食べる。 ただ帳が遅くなる時や帰ってこない日もある為そう言うときは一人で食べている。 料理は藜に教わった。 多分一人で生きていく為の事は大体教わったと思う。 それだけ大きな存在の藜だが未だ行方は分かっていない。 そして就寝の時間。 「ん……は……ん……」 この日は寝る前に帳の部屋で彼から血を貰う。 血を飲まなければ浬は生きていけない。 帳に終わりだと言われれば血を吸うのを止める。 浬は血を飲んだ後帳の布団を被り横になった。 「こら、いい加減自分の部屋で寝ろ。」 「やだ、藜といたときもずっと一緒に寝てたもん。」 「お前もう高校生だろ。」 浬はとても寂しがり屋で帳と一緒か彼がいないときは彼の匂いが染み付いたベッドでないと眠ることができない。 帳も浬が藜と離れて心細いのだろうと仕方なく一緒に寝ていたのだが、いつまで経っても自分の部屋で寝ることはなく今もこうして自分と寝ている浬にどうしたものかと手を焼いている。 それでも寂しいと訴えられれば邪険にも出来ず結局帳が折れてしまうのだ。 別に苦ではないし愛しくも感じるようになってこのままでもいいとも思ってしまっているが帳には気がかりな事がある。 八尋の事だ。 彼はこちらに引っ越すと勝手に決められた上に 浬と同い年で恐らく同じ学校なのだと思う。 まさか同じ高校を受けていたとは知らなかった。 受験の日浬を送っては言ったが八尋を見かけることはなかったし浬の事も知らないようだ。 しかしこうなれば毎日顔を会わせることとなる。 しかも吸血鬼を憎む八尋の事だ、浬の事もいい顔はしないだろう。 「浬、お前に話がある。」 「何?」 帳は八尋の事を浬に話す事にした。 いずれ知ることになるのだろうから今のうちに話しておこうと八尋の過去、吸血鬼への想いを浬に伝えた。 浬は悲しそうな表情をしながらも帳の話を聞いていた。 「多分八尋が家に来ることになったらお前への態度は良くないだろう。 悪いな。」 「ううん、帳もその八尋って人も悪くないよ。 だから大丈夫。」 浬は笑ってそう言うが内心不安だろうと帳は複雑だ。

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