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第10話

そして翌日、八尋の言う通り荷物が帳の家に運ばれてきた。 とは言っても荷物はあまり無い。 八尋はあまり物に執着しないのもあって最低限の必要な物しか無い。 まぁ、そんなことはどうでもいい、 帳は朝から憂鬱でしかない。 荷物が来たと言うことは八尋ももうすぐやって来ると言うことだ。 まだ学校が始まっていないため朝が苦手な浬はまだベッドの中だ。 八尋にどう説明すべきか未だに悩む帳を余所にインターフォンが鳴り八尋がやって来きた。 「よう帳。」 「………ほんとに来たのか。」 「そんなに嫌か?俺が来るのは。」 「ああ、心底迷惑だ。」 そんな事を言うも八尋を追い返す訳にもいかない。 どうせならもっと早く浬の存在を話しておくべきだったと帳は後悔した。 帳は浬同様、八尋にも甘いらしい。 不幸な境遇と自分が逃がした吸血鬼が八尋の兄を襲ってしまった。 自分が招いた死という罪悪の念からどうしても同情が勝り甘やかしてしまう。 しかしこうなってしまえば正直に話すしかない。 「八尋、お前に言わなければいけないことがある。」 「何?」 「帳………」 「「!?」」 するとそこに浬が起きてきた。 陽光が強く射すなか浬はトイレに行っていたようだ。 そしてまだはっきりしない目を擦りながら帳の名を呼ぶ。 「……誰?」 当然のごとく初対面の浬に八尋は帳に訊ねる。 そしてようやく状況を把握した浬がはっとした表情をし気まずそうに八尋を見た。 昨夜話していたと言っても急に現れた八尋に戸惑っている。 どうすればいいか分からない浬は帳に視線を移し助けを求めている。 「八尋、この子は浬。 お前と同い年で同じ高校に通う事になる。 呉々も仲良くやってくれよ。 浬、こいつが日向八尋だ。」 「あの……よろしく。」 浬は八尋に挨拶し右手を差し出し握手を求める。 「………お前、なんか変な感じがする。」 「え?」 「あの時の吸血鬼みたいな………」 「___っ!!」 ああ、面倒だと帳はため息をついた。 浬が半吸血鬼であることは隠しきれないとは分かっていたが実際どう説明すればいいのやら。 いや、きっと八尋は何を言っても不満しかないだろう。 しかし言わない訳にもいかない。 「八尋、浬は半分吸血鬼だ。」

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