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第20話

この日の午後は体育祭の練習 八尋は体を動かすのが得意だ だから体育の授業は一番好き 吸血鬼に兄を殺されたあと帳に吸血鬼を葬る術を学んできた 今も帳の時間が空いている時吸血鬼との戦い方を教えてもらっている その為生傷も絶えないのだが…… 「お~また傷増えてんな お前いつも何してんのさ」 「んー生傷の絶えないスポーツ的な?」 「なんだよそれ」 今日はリレーの練習をするようでバトンが用意されている そして八尋は運動神経抜群と言うことでアンカーだ パンと言う音と同時に生徒が走る そして次の走者にバトンを渡す アンカーの八尋にバトンが回る頃には順位は三位 大分距離も離れているが八尋はそれをものともせず一位になった 「日向お前スゲーな!!」 「カッコいい日向君!!」 あっと言う間に八尋の周りに人が集まった 仲良くクラスメートと会話してると大丈夫?と女子の声がした そちらを見てみると一人の女の子が膝から血を流している 「大丈夫か?」 「うん……」 大丈夫と彼女は言うが結構血が出ていて痛そうだ 八尋は手当てした方がいいと彼女をおんぶして保健室に行くことにした 彼女は顔を真っ赤にして自分で歩けると言うがこっちの方が早いからと八尋も譲らず彼女をおぶった 保健室に行くと浬がいて八尋はこいつは体育は休んでいたのだったと今思いだしここに来たことを若干後悔した 彼女が手当てを受けている間互いに何か話したいが喋ることはなかった そう言えば浬は彼女の血を見て何とも思わないのか? 昨日は八尋の血を見て目を赤く染めていたが今日は目を赤くするどころかまったく気にしていないように見える 帳が八尋に言っていた 寝不足で理性を保てなかったのだと 八尋が一人で寝ればと言う言葉を気にして一人で寝ていたが眠れなかったのだと 浬は夜一人になることを酷く嫌がる それは藜が自分を置いていなくなったということと 昔暗い場所に閉じ込められていた事のトラウマだと なら自分のせい?八尋は自分が放った何気無い言葉で浬にプレッシャーを与えていたのかと考えた そうこう考えている内に手当てが終わり八尋は体育祭練習に戻ろうと保健室を出た 早く戻らなければ…… そう思ったのに浬が八尋を呼び止める そして彼の手が八尋の肩に触れたとき八尋は浬の手を振り払った 「触るな!!」 この時同時にヤバいと思った 浬が何かをしたわけじゃない ただ浬が兄を殺した奴と同じ吸血鬼なのだと思うと 恐怖が蘇ってしまったのだ 手を振り払われた浬は悲しそうな目で八尋を見る その目が耐えられず八尋は関わらないで欲しいと言って急いでその場を離れた でないと浬に何をしてしまうか分からなかったから これではまるで浬を悲しませたくないかのようだ 浬は理不尽に八尋に当たられているにも関わらず ごめんと謝る 吸血鬼は皆人を餌としか考え無い悪だと認識している八尋 現に浬だって帳の血を飲んでいるのだ なのに心の中はモヤモヤした気持ちでいっぱいだ 「クソッ………」

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