24 / 135
第24話
それから浬は眠れないなら一緒に話しようとルシェルに手を引かれた
そしてルシェルは浬を抱っこした
「え、ルシェル?」
「ちゃんと俺に捕まっててね」
ルシェルはそう言うとジャンプし木の上に登った
他の木よりも一段と大きなその木の上の太い枝に浬を下ろすと怖くて目を固く閉じていた浬に目を開けてごらんと優しく囁く
すると木々の向こうに大きな湖があり空の上の星たちと月がくっきりと湖に写りとても綺麗だ
「綺麗………」
「でしょ?
それにここは空気が澄んでるから星も綺麗に見える
秋なんか紅葉で真っ赤になって更にきれいだよ」
浬は感動して目がキラキラと輝いている
こんな綺麗な景色は生まれて初めてだ
それにこの辺りは野生の動物も多い
だからたまに動物が水を飲みにそこの湖にやってくる
そんな浬を見てルシェルは喜んでくれたようで良かったとクスリと笑った
「ねぇルシェルまたここに来たい!!」
「ここが気に入ったのならまた来ればいい」
「でもこんな高いところ登れない」
「ははっ大丈夫だって吸血鬼なのだからここに登れるだけの能力はあるはず
それに万が一落ちたとしてもかすり傷くらいで済む」
「………」
吸血鬼と言うのは普通の人間とは違い
身体は化け物のように頑丈なのだ
その為ちょっとやそっとじゃ死なない
けれどそんな吸血鬼でも心臓を抉られるか銀の銃弾を撃ち込まれれば死ぬ
それから二人は木の枝に座りながら景色を眺めた
あまり会話は無かったがただ横にいるだけで心が安らいだ
いつしか浬は眠くなりうとうとし始めた
眠れなかったのが嘘のようだ
そしてルシェルに寄り掛かってきた
「ふふっしかたないな
まぁ、可愛いからいいんだけどね」
「ん……ごめ、眠くなってきた」
「いいよちょっと掴まってて」
ルシェル寄り掛かる浬を支えながら頭にキスを落とす
浬を抱き抱え木の上から飛び降りた
「うわっ………」
いきなりのことでビックリして先程までの眠気が吹っ飛んだ
二人は木の根元でゆっくりしいつの間にか陽が登り始めていてそろそろ帰らないと帳が心配するとと名残惜しそうにルシェルと抱擁をかわし浬は家に戻った
家につく頃には大分陽が登り明るくなっていた
そして部屋に戻ろうとすると帳が部屋から出てきた
「と、帳……」
「浬、いたのか
ベッドにいないからどうしたのかと思った」
「えっと……と、トイレに行ってた」
「そう……」
咄嗟にそう嘘を付いたがどうやら浬が出掛けていたのは気付いていないようでほっと溜め息をついた
ともだちにシェアしよう!