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第29話
この日八尋は保健室でのことを帳に話したようで寝る前寝室で帳に真相を聞かれた
一応相手から手を出してきたと八尋に言ったが信じては貰えなかったと言う宗を帳に伝えると
そうか、と言うことだけでそれ以上は何も言わなかった
そしてこの日以降帳が隣で寝静まる頃にあの木のほとりに行ってルシェルと頻繁に会うようになっていた
ルシェルといるときが一番落ち着ける
彼はいつでも浬をあたたかく迎え入れてくれた
しかしそれとは裏腹に体育祭が終わった頃から変な噂がたつようにたった
それは浬が男と保健室で寝ている、
男を食い漁ってるなんて根も葉もない噂だった
「ねぇ聖城君って体育祭のとき先輩の男の人とそういうことしてたらしいよ」
「うそーうちらが頑張ってるときにそんなことしてたなんて聖城君のこと好きだったのにショック
もう冷めたわ」
そう教室でヒソヒソと本人がいると言うのに話している
だがいくら違うと否定しても八尋同様信じてくれる人はいないだろう
けれどやはり自分の悪口を聞いているのは気分が悪い
浬は保健室に行く
また噂をされるだろうがあの教室にいたくなかった
「あら聖城君」
「先生……」
「具合いつもより悪そうね
ゆっくり休んどきなさい」
「ありがとうございます」
先生の厚意に甘え浬はベッドに横になった
先生は噂のことを何も言ってはこない
多分知らないだけなのだろうが
浬は横になっている内に眠気が襲ってきて眠ってしまった
そして目が覚める頃にはもう昼だった
先生がご飯食べれるか聞いてきたから食べれると答えるとじゃあ弁当を持ってきて一緒に食べましょうと言ってくれた
浬は弁当を取りに教室に入るとやはりクラスメートがヒソヒソと自分のことをじっと見て話している
八尋も睨むように浬を見ている
それらを耐え弁当が入っている鞄を開く
「………っ!!」
だがその鞄の中には石や土がいっぱいに入っていた
浬への嫌がらせだ
その鞄を開く浬の背後ではクスクスと笑い声が聞こえる
浬は鞄の中から弁当を取りだし教室を後にする
幸い弁当の中までは被害はなかった
外でささっと土を落とし保健室へ向かった
しかしこんなことが続くのかと思ったら憂うつだ
思った通り次の日も机に落書きやら靴を隠されたりと嫌がらせをされた
そして誰も浬の味方になってくれるものなどいない
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