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第32話
銃をかまえた帳が問う
「それで、お前はクロー家の者だろう?
何が目的だ?」
「ははっ確かに俺はクロー一族だよ?
目的はただ浬が可愛いから話したいだけだって」
「冗談など聞いていない
浬に何の用だ?」
ルシェルの話を信じない帳は更に深くつっこむ
それに対してルシェルは苦笑する
「ほんとユーモアないなぁ~
藜の言う通りだ」
「!!
藜…だと……!?」
藜今確かにルシェルはそう言った
藜と彼が放った言葉に帳は反応する
それにルシェルはおっと、と口を滑らせたと言うように人差し指で口を塞ぐ仕草をする
何故ルシェルが藜を知っているのか
一体どういう関係なのか帳は再び警戒心を強める
「浬が藜さんのことを喋ったのか?」
「まさか~この子は彼については話してないよ」
「では何故彼を知っている?」
「ナイショ!!」
「………貴様!!」
不快感を露にし今にもルシェルに襲い掛からんばかりに殺気をだす帳
それとは逆にヘラヘラと笑みを浮かべるルシェル
彼が何を考えているのか図りかねる
浬を帳に託し消えた藜
今でも協会は彼を追っているが全く行方は掴めない
そしてここに最も有力なその手がかりが存在するのだ
決して逃がしたくはなかった
どうにか藜のことを聞き出したい帳は緊張の糸がぴんと張りつめる
「藜さんは今何処にいる」
「さぁ?」
「彼は一体何をしようとしている?」
「さて、何するつもりだろうね」
「…………っ!!」
全く答えるつもりのないルシェルに段々苛つき始める帳
すると浬がもぞっと寝返りを打ち眉を顰める
「ほ~ら君がそんなに殺気をだすから浬が起きちゃうでしょ?」
「…………」
そう言われ帳は一旦心を落ち着かせる
しかし何故この男は藜を知っているのか
しかもクロー一族の者だ
クロー一族
それは上位の吸血鬼であり吸血鬼の王が存在する一族だ
そんな彼が浬と接触し藜を知っている
何かあるに違いない
けれどそう簡単には口を割ってはくれなさそうだ
さて、どうしたものかと帳は考える
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