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第38話

ルシェルが現れてからと言うもの帳は浬や八尋の事でより悩まされるようになった 相変わらず二人に会話がない と言うか八尋が一方的に嫌っているのだが 以前はその内何とかなるだろうとあまり干渉もしなかった だが浬が体育祭の日学校でやらかしたと八尋が言っていた 浬は相手から先に手を出してきたと言う 恐らく浬は嘘はついていない あの子はそういう子ではない しかし帳はこれから仕事で二人に構っている暇はない 日曜日の今日二人は学校が休みだ 浬に大丈夫か訊ねると大丈夫だからと笑顔で言う 「では、行ってくる 何かあればすぐに連絡しろ」 「うん、いってらっしゃい」 帳は家を出て協会本部へ向かう そして会議室へ行く ここでは人に危害を加える吸血鬼のリストから 何処でどの吸血鬼を始末するのかを話し合う それからその吸血鬼を見張る先遣隊から得た情報を元に討伐隊が現地へ赴き吸血鬼を狩るのだ 他にも協会には吸血鬼から襲われ怪我した人の介抱する医療班や八尋の様に家族を失い独りになった者への心のケアをする者 それらは協会直属の総合病院が務め孤児は教会へ引き取られる それ以外にも総合司令やらなんやら存在するが取り合えず主要なものはこんなものだ 「えー今回、駆除する吸血鬼は下位のレガロと言う名の吸血鬼です この吸血鬼は女性を少くとも3人殺しています 先遣隊によりますと今檜垣(ひがき)の街にいるとの事です」 そう伝達員が帳率いる討伐隊へ伝えられる そして帳の手にそのレガロと言う吸血鬼の写真が手渡された 彼は金色の短髪でピアスを複数着けている 「分かった、これから檜垣へ向かう 行くぞ」 「はい!!」 帳一行は協会を出発し檜垣の街へ出向く 一刻も早く行かなければまた被害者が増えてしまう 車で行くこと約一時間漸く檜垣へ着いた 車から降り先遣隊の人と合流する 「お疲れ様です帳さん 早速ですが例の吸血鬼は今飲食店にいます ここは繁華街ですから今突入は危険です」 「そうか、なら奴が動き出すであろう夜に動く」 「分かりました」 これはまた帰るのが遅くなると帳はため息をつく 本当なら浬と八尋を二人きりにするのは気が引けるが仕事なのだから仕方ない 一体どれくらい経っただろうか 大分陽が暮れてきた 先遣隊が見張っているとは言え待っているのも大分疲れる しかしそろそろ吸血鬼が動き出してもおかしくない頃だ 帳は気を引き締め先遣隊と連絡を取る 「どうだそっちは」 「はい、たった今動きがありました 奴は若い女性に声をかけています 恐らくこのあとその女性を襲うつもりでしょう」 「そうか、分かった 今からそちらへ向かう」 「了解しました」 帳は討伐隊と共に先遣隊が見張る先遣隊場所へと向かった

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