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第40話
この日は日曜日、八尋は何処かへ遊びに行って家には浬一人だ
他に誰もいなくて暇だ
またルシェルの所に行こうと思うがこうもしょっちゅう会いに行ってしまって迷惑ではなかろうか?
それに今は昼、吸血鬼にはつらい時間帯だ
そう思い浬は自分の部屋に行き本を読むことにした
部屋のカーテンは閉めきって薄暗い部屋
浬は本を読むためスタンドライトを着ける
浬の本棚には沢山の本がある
まだこの家に来た頃友達もいなければ帳は仕事がありずっと家にいることができない為帳からいろんな本を与えられていた
浬は本棚から一冊の本を取り出す
すると隣の本が一緒に動いて落ちてしまった
「あ………」
その落ちた本を戻そうと手に取ると懐かしい記憶が蘇ってきた
それは昔藜に読んでもらった本『ドラキュラ』
その時は少し怖くてそれでいて興味深い物語りだったけど今考えたら笑えてくる
だって吸血鬼の自分達が吸血鬼の本を読んでいるのだから
浬はこの懐かしい本のページを開いた
そして1ページ1ページ開いていつの間にか読み耽っていた
それと同時にあの頃藜が読んでくれた声も蘇ってくる
優しく深みのある声……
帳と同じような大きくてあたたかい手……
藜を思い出さない日はなかった
だってよく似た帳がいるのだから
それでもやはり帳とは話し方とか考え方などちょっとした仕草は違い藜ではないと思い知らされる
藜が懐かしい……
藜に会いたい……
けれど藜に置いていかれた
何故?邪魔?それとも他に何かあるの?
いずれにせよ一目会いたくて仕方なくなる
そう思ってしまったらもうダメだった
涙が溢れる止まらない
「藜………」
浬は寂しさで押し潰されそうになる
そして迷惑だと分かりつつルシェルのいるあの場所へと行った
いつもの場所に行くとルシェルは必ずそこにいる
この日も同じく木上に座っていた
「いらっしゃい」
「ルシェル………」
半泣きの浬
ルシェルは木から降りてくる
そして浬はルシェルに抱きついた
「どうした?」
「………っ」
何も言わずただルシェルの胸で泣いた
そんな浬に対し何も聞かず抱き締めたルシェル
暫く泣き続けた考え方は漸く泣き止んだ
「よしよし、何があったかは知らないけど
理由言いたくないなら聞かないけど?」
「………寂しくて」
「寂しい?」
「うん、会いたい人がいる……
けど、会えなくて……」
浬は藜に会えない思いをルシェルにゆっくり伝えた
そしてそれを聞き終えたルシェルは思いがけない事を発し浬を驚かせる
「そう……じゃあ会わせてあげようか?
彼に……」
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