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第50話
集中治療室へ運ばれた八尋
大量の出血で意識不明となったが何とか命はとりとめた
外では帳が八尋の容態を担当医から聞いていた
どうやらあばら骨を1本やられてるらしい
そして医者の話ではもう少しすれば目も覚めるだろうとの事だ
帳は医者から話を聞いたあと八尋の傍にきた
そしてすまないと八尋を守れなかった事を詫びた
帳のせいでは無いとしても彼を巻き込んでしまった事にはかわりない
もしかしたら彼をこちらの世界に連れてきてはいけなかったのかもと後悔する
「八尋……早く目を覚ませ……」
_______
何故だ___?
どうしてあいつは俺を庇った___?
いくら考えても納得できない
だって自分はいつも彼に酷い仕打ちをしてきたと言うのに……
それなのに彼は笑うんだ
ごめんねって………
その顔がいつまで経っても頭の中から消えない
自分が分からなくなった
吸血鬼は悪で憎くて殺したくて仕方ないのに
あいつだって同じの筈なのに
本当にそれでいいのかって最近思うようになった
なぁ、教えてくれよ……
「かい……り………」
目が覚めると天井が見える
そして酸素マスクを着けていて心電計が一定のリズムで鳴り響いている
それで今自分は病院にいるのだと分かったがまだ頭がぼーっとしている
そこに看護士の女性が入ってきた
彼女は八尋が目を覚ましたとこの部屋を出ていって暫くしたら中年男性の医者と戻ってきた
「身体は回復しつつあるようだね
君の名前聞いてもいいかな?」
「……日向八尋」
それから八尋が目覚めたと帳が病院に駆けつけた
八尋の目覚めた姿を見て良かったと安堵する
「なぁ帳あいつはどうした?」
あいつとは当然浬の事だった
浬は八尋以上に傷が酷かった筈だ
しかしルシェルが浬をどこかへ連れていった
八尋はそれが凄く気になっていた
「………残念ながら浬はここにはいない」
「何処に連れてかれた?」
「……今お前が気にすることではない
まずは怪我を治せ」
「けど、俺のせいであいつ―――」
「だとしてどうするつもりだ?
お前は今何も出来ない
今は治療に専念しろ」
確かに今の自分では起き上がることすらままならない
怪我が治るのを待つしかないのか……
すると帳が自分の腕を噛み血を流す
「飲め、一応私にも僅かだが吸血鬼の血が流れている
多少傷の治りが早くなる筈だ」
帳が腕を差し出し八尋の口元に持っていく
そして八尋は帳の腕から伝う血を舐めた
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