52 / 135
第52話
今なんて言った?
目をつけてたと彼は言った
一体どう言うことなのかと気になり
八尋は通りすぎた廊下の角に隠れて話を立ち聞きすることにした
すると内容は驚くべき事ばかりで八尋は絶句した
「俺さ入学式の頃から目をつけてたんだぜ?
あいつ綺麗だよな~マジで」
「確かにあれなら俺もいけるかもしんねぇけど」
「止めとけ殺されるぞ」
あいつ浬に手を出そうとしたのか?
男のあいつを?
未だ男の話を信じきれない
では浬の相手から手を出されたと言うのが本当であいつの言ったことは嘘だったのか?
暫く聞いていたが話題を変えてしまいそれ以上の事は分からなかった
彼の名前すら分からないから調べようもない
どうしようかと保健室に行きながら考える
取りあえずまた見掛けたときに誰かに聞いてみる事にした
保健室で休みチャイムが鳴り昼休みが終わった
八尋は教室に戻る
皆八尋が何処に行ってたのかと質問してきて保健室で休んでたと言うとまた心配された
「大丈夫だからそんなに心配しなくてもいいって」
そう言うと何かあったら言ってねとそれ以上体の事は言わなくなった
放課後友達と一緒に下校することになった
すると学校の玄関のところで先程の男を見つけた
じっと彼を見てると友達がどうしたのかと聞いてきた
そして友達も八尋の見ている方に視線をやると
あ~と呟いた
「あの人って何人も引っかけてるよね」
「どう言うこと?」
「もしかして知らない?
男でも女でも気に入った人を見つけては手を出してるらしいよ
それを自慢気に話してるとか
お前も大丈夫とは思うけど気を付けた方がいいよ」
「…………っ」
知らなかった
そんな噂があったとは………
けれど本当なのだろう現に浬が被害に遭っていた
あいつは何もしていないと嘘を言っていたが
八尋はショックを受けた
浬は何も悪くないのに自分は責めてしまった
謝らなければいけないのに浬はここにはいない
きっと謝ったとしても八尋は悪くないと言うのだろう……
本当に馬鹿だ……浬も自分も……
八尋は眉を顰めた
「どうした?日向」
「いや、何でもない
帰ろうぜ」
探さなければ……
探しだして謝らなければいけない
吸血鬼だからと一括りにして浬を傷つけた
ちゃんと謝りたい
八尋は心にそう誓う
ともだちにシェアしよう!