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第66話

「……八尋、お前書斎に入ったか?」 「何のこと?」 八尋が先日帳の書斎に入ったことがバレたらしい しかし八尋は知らないとしらを切る それでも入っただろうと帳はしつこく問い詰めるが八尋も決して認めようとはしない 八尋としても浬を探しだしたいなんて言っても 止めとけと言われるだけだろうし書斎に入ったなんてこれこそしつこくこっぴどく説教されるに決まっている だからこそ認めたくないのだ 「はぁ……全くお前は…… いい加減認めたらどうだ」 「だから知らねぇって」 どうやったって認めない八尋に帳も段々と疲れてくる しかしここまで知らないと言われるとイラッとくる だがここで怒鳴ってしまえば子供相手に大人げない さて、どうしたものかと帳は頭を悩ませる 「八尋……」 「知らない」 「そんなに浬の事が気になるか?」 「え?」 八尋が浬の事を助けたいと思っていることは帳も知っている しかし情報も少ない上に連れ戻すとなれば危険でもある だからこそあまりこの話をすることもなかった しかしそれほどに浬を気にかけていたことは帳には予想外だった これほど八尋が浬を助けたいと言うのなら何としてでも浬を連れ戻さなければと考える しかしそれにはリスクも当然ある 帳は悩んだ 本当に八尋が浬を助けることが可能なのか そして悩んだ末に帳は切り出した 「浬を助けることが出来るかもしれない」 「ほんとか!?」 「ああ、しかしかなりリスクもある」 「何?」 「実は近々吸血鬼の主催の夜のパーティが開かれる そこで手薄になった所で浬の所へ行けばいい」 帳はリスクを承知で八尋な話した 例え連れ出すことが不可能でも一目見て 謝罪だけでも出来ればいいと思っている 「けど何処にいるんだ?」 「それは分かっている たから心配しなくてもいい」 八尋は興奮していた まさか本当にこの日がやって来るとは思わなかったから これでやっと浬に謝ることが出来ると今から張り切っていた その一方で帳は心配で仕方なかった 本当に話してしまって良かったのか 不安だった しかしここまで来てしまえばやるしかないと覚悟を決める___

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