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第67話
薄暗い地下室へと続く階段を下りていくルシェル
一段一段ゆっくりと下りたその先には大きな重い扉がある
そこに手を触れるとビリリと電気のようなものが走り触るのを拒む
それでも触れ続けると手が焼け爛れる
「流石吸血鬼の王、結界の強さは凄いな
手が痛いや」
そう言いながらもルシェルは笑顔だ
爛れた手を舐めると今度はどうしようかと呟く
ルシェルは意地でもここを開けるつもりのようなのだがここは吸血鬼の王の張る結界が邪魔をする
ルシェルはどう結界を破るのかただ考えなしでやって来たわけでもない
茶番はこの辺にしてルシェルはそろそろ本気でここを破る準備をする
ルシェルは懐から短剣を取り出した
これは協会の用いる吸血鬼用の武器だ
それも一本ではない
それを五本取りだしその内の一本を右手にとり
自らの手を切りつけた
剣にはルシェルの血がベットリと付いた
更に今度は札のようなものを取り出しその札に剣を刺した
それを今度は結界に突き刺した
突き刺した所からビリビリと剣を拒否される
だがルシェルは構わず次の剣を自らの血を着け突き刺した
そして五本全てを結界に突き刺しす
そのあとルシェルは自らの腰に刺していた剣を振るった
すると結界に亀裂が入りルシェルは何度もその亀裂に剣を当てた
そして結界はパリンと割れた
「全くこれだけの結界を破るのに大分かかったよ
特に札は10年念を入り込ませたものだからね
さてと、お邪魔しようか」
ルシェルはこの時をずっと待っていた
十数年準備をしてきて漸くこの日を迎えたのだ
ルシェルは結界の解かれた扉に手を添える
先程とは違って触れても何もない
それをグッと押していくとギギギと音を立てて
扉が開いていく
扉が開ききり中へと入る
そこはとても広くまるで神殿のような場所だ
規則的に大きな柱が奥まで建っていて
ルシェルはそこをまっすぐ歩いていく
大分歩いたところに何かが見えてきた
傍まで歩いていくと天蓋のカーテンがしてある
そしてルシェルはカーテンを開けた
するとそこには男性が眠っていた
「やっと会えましたね」
ルシェルはそう言うと剣を取り出した
そして彼にその剣を向ける
「そしてさようなら」
ルシェルは剣を振り下ろした
しかしその瞬間手を男性に掴まれ阻止された
黒い長髪、真っ黒な瞳が特徴のとても美しい男性 だ
「起きた瞬間にお前に襲われるとはな
ルシェルよ」
「ははっやっぱ無理でしたか
お久しぶりです父上」
「愚かな……それにしてもよくここの結界が破れたものだ」
「まぁそこはそこです
しかし眠りについて10何年
目覚めたばかりだと言うのに貴方は恐ろしい
流石吸血鬼の王
ヴァイド」
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