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第68話

吸血鬼の王ヴァイド 彼は全ての吸血鬼の頂点に君臨する王であり ルシェルやルイス達の父親でもある 齢約四千年だが見た目は二十代のまま ヴァイドは20年近く前に人間狩りを行っていた事があった 永く生きている間のほんの暇潰しとして……… だがそれを十字協会が放っておくはずもなく衝突し 十字協会は怪我人百数十名死者数十名の犠牲を出した そしてヴァイド自身も怪我を負いそれを癒す為に10数年前に眠りに着いていたのだが……… 「一体何のつもりだルシェル」 「勿論貴方に死んで頂きたく」 「ほう……ならばやってみるがいい」 ヴァイドはそう言うとルシェルへ襲いかかる 慌てて退避するルシェルだが首をヴァイドに掴まれる そしてそのまま投げられ柱に激突する 激突した柱は蜘蛛の巣のようにヒビが入る ルシェルは地面に倒れ再び立ち上がる 「ゴホッゴホッ……」 「まだ終わっていないぞ」 「―――っ!!」 ヴァイドは一瞬にしてルシェルの元へやって来るとはルシェルの額を掴み地面へと叩き付ける そして砂煙が舞い二人を包み込む 「ははっ流石ですね、敵いませんよ うん。降参、もう何もしませんから」 圧倒的な差にルシェルは手を上げた 寝起きでこれほどまでに強いとは思わなかった ここは大人しく負けを認めて敵意が無いことを示したほうが良いと判断した 「私を殺そうとしておいてよく言うものだ」 「やだな~冗談ですよ 本気で殺そうなんて思ってませんよ 俺の父親なんですから」 「………ぬかせ愚息が」 実際ルシェルは本気だった しかし失敗したことでルシェルは降参し冗談だと笑みを見せるしかない 彼は強い、そう易々と葬る事など出来ない ルシェルは様子を見てどうするか決めることにした 「しかし少し眠っている間に雰囲気が変わったなお前は」 「……………」 「女でも出来たか?」 「まさか、そんなものに興味はありませんよ」 「ならば他に大事なものが出来たか」 「……………」 図星を突かれ返答に迷うルシェル 出来ることならヴァイドに浬の事を知られたくない 知られればこの人は何をするか分からない もしかしたら殺してしまう可能性だってある それだけは絶対に阻止したい 「まぁいい、お前に叩き起こされて少々疲れた 少し休むとしよう 邪魔するなよ?でないと殺す」 実の息子にかけるような言葉ではない事を口にし ヴァイドはこの地下室を出ていった

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