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第69話

今日は何やら慌ただしい ルシェルもアンディもせかせかしているようだ 浬は部屋からでないからよくは分からないが ルシェルが浬の所に顔を出しても忙しいとすぐに出ていってしまう 「ルシェル?」 「ごめん、今日は夜会があるんだ だからもうすぐここを留守にするから 大人しく待ってるんだよ」 「そうなの?」 夜会とはどんなものなのだろうか? ルシェルは吸血鬼が沢山集まるのだと言う そして中位の吸血鬼が媚を売ってきてとても面倒くさいパーティーなのだと しかしそんなどうでもいいパーティーに行かなければいけない理由がある そこには滅多に会わないルシェルの親族も集まる 故に重要なパーティーでもあるのだ だが親族に対していい感情を抱かないルシェルにとっては苦痛で仕方ないのだと言う 嫌々仕度し出掛ける時間になった ルシェルは浬の元へ来ると行ってきますの熱いキスを交わす 「ん……はぁ……はっ…ん……」 そして名残惜しそうに唇を離した それから今度はルシェルはぎゅっと抱き締めた それに浬も応え彼の背中に手を回す 「じゃあ行ってくるね 呉々も大人しくまってるんだよ?」 「分かってるよ いってらっしゃい」 ルシェルは家を出て迎えの車に乗る アンディはそれを見送る 「じゃ、浬をお願いね」 「はい、勿論です いってらっしゃいませ」 そしてルシェルはパーティー会場へと出掛けていった アンディは浬のお守り役として家に留守番となった 暫く車が走り十分ほどで会場へとついた 正装に身を包んだルシェルが車から降り会場へと足を運ぶ 「ようこそおいでくださいましたルシェル様 ジェイド様がお待ちでございます」 そのジェイドと言う人物がいる方へと案内される 既に沢山の吸血鬼達が集まっておりルシェルの行くところ道が開く そして女性達は特にキラキラとした目でルシェルを見ている 「ああ、ルシェル様よ」 「なんて美しい方 ルシェル様どうか私を貴方の傍に」 「ルシェル様私の娘を妻に」 ルシェルの容姿は吸血鬼の女性にとっても魅力的なものでどうにか自分を妻にしてもらいたいと必死なのだ それに上位の吸血鬼と言うことで自分の娘を妻にしたいと思うものも多い だがルシェルは彼女らには一切目もくれずジェイドの待つテラス席へと急ぐ そしてそのテラス席の柵に寄り掛かりグラスに入っている血をワインのように飲んでいる そしてルシェルに気づき彼に目を向けた 「お久しぶりです叔父上」 「ああルシェル、久しぶりだね」

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