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第71話

ルイスは大好きなルシェルに会って嬉しそうにはしゃいでいる しかしルシェルは浬の事がありあまり笑顔を見せることはなかった 「ルイスお前浬に何をした?」 「何の事です?」 本当はアンディに聞いているが素直に言えばそれなりで済んだのだがルイスはしらを切るつもりらしい それにルシェルは怒りを感じた 大切なものを傷つけられたのだ 黙っていられるわけがない 「とぼけるの? まぁいいけど俺はさ、嘘が嫌いなんだよ 話さないのならお前のことはもう興味ないよ」 「ま、待って!!言います言うから許してください」 ルシェルの言葉に慌てるルイス それほどにルイスにとってルシェルは大きなものだった 「平手打ちしました 兄上が半分人間のなんかに入れ込んでるから 嫉妬で………」 「そう、でもあの子はお前にとっても大切なものだろ?だって浬は、弟なのだから 次はないから気を付けろ」 「はい………」 そう、浬はルシェル達の弟でヴァイドの息子 浬は知らないことだが吸血鬼達が浬を殺さずに生かしていた理由はこれだった 浬について何も語ることなくヴァイドが眠りについてしまったから 話が済んだところでルシェルは今度は兄の元へ挨拶に行った 「お久しぶりです兄上」 「………お前か 相変わらずうさんくせぇ笑い方しやがって」 ルシェルの兄、ジル 気性が荒く気に入らないことは力ずくで解決してきた この人も関わりたくない人物だ しかしそれでも仕方なく挨拶を交わす そしてこの場を立ち去ろうとしたその時だった バンと会場の扉が開きある人物が入ってきた 「ほう、随分集まったものだ」 いきなり現れた人物に皆大騒ぎだ 何故なら入ってきたのはヴァイドだったのだから 突然吸血鬼の王が現れ皆お辞儀をする そしてルシェルも慌てて彼の元へ駆けつける 「父上、一体何故」 「ルシェル…… 今日はただ様子を見に来ただけだすぐ帰る まだ本調子ではないからな」 すると今度はジェイドがやって来た 「兄上お久しぶりです どうです?美味しい血が入りましたが?」 「今は良い 帰る」 ジェイドは冷静に対応するが 内心は何故ここに来たのか彼の考えが読めなかった それにすぐに帰ると言う そしてヴァイドはかかとを翻し会場をあとにした ルシェルも彼を追って会場を出た 「父上お待ちください」 ヴァイドはルシェルに呼び止められ振り返る そして――――

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