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第72話

ルシェルが出掛け家にはアンディと二人となった浬 しかしアンディは家の事がありで構ってはくれず 実質一人だ 暇で仕方ない浬は取り合えず本を読んでいた そんな時だった チカチカとライトが部屋に入ってくる 浬はなんだろうと本を閉じ窓の方に寄っていく 窓の外を見てみるとライトがすぐ近くで光っている するとライトが消えた そこでようやくその正体が分かった 「八尋……?」 そう、そこには八尋の姿があった だがそれが八尋と言うことに気づくのには少し時間が掛かった だっている筈のない八尋がこんな所にいるのだから 「良かった気がついてくれて 遠くから見てお前がその部屋にいるのが分かった」 「なんでここにいるの?」 「謝りに来た」 「え?」 謝りに?何を? 意味がわからず八尋に聞き返す 「体育祭の事、お前悪くなかったって知ったんだ 俺さ、無意識に吸血鬼は悪だからお前も悪だって思い込もうとしてた けど、そんなのおかしいよな お前は何も悪くないのに…… 今でも吸血鬼は嫌いだ お前の事も好きになれるかは正直分からない 悪い…… けど今更なんだっておもうかもしんねぇけど どうしても謝りたかった ごめん……」 八尋は思いの丈を浬に述べた 自分が間違っていたこと しかしそれでも浬を好きになれるかは分からないと 吸血鬼が憎くて仕方ない八尋はどうしても吸血鬼と言う存在が受け入れられなかった それを全て正直に浬に伝えた 浬は黙って八尋の話を聞いていた 嬉しかった 例え自分を好きになってもらえなくとも 自分を否定しないで受け入れてくれたことが 「なぁ来いよ お前を助けに来たんだ 早く、誰にも気づかれない内に」 「八尋………」 浬は口を噤んだ まさか助けに来たとは思わなかった 会いに来てくれたのは嬉しいし助けに来たと言う事実はとても嬉しい けれど考えるのはルシェルの事だ ルシェルは優しい 彼の事は大好きだし大切な人だと思っている だからこそ簡単に八尋の言葉に頷く事が出来なかった 「おい、何黙ってんだよ なんか言えよ」 浬は迷った どうしようか? このままここに残るのも折角危険を犯してまで来てくれた八尋の厚意を無下にしてしまう しかしルシェルの元を去るのも心苦しい 「早くしろ浬!!」 「……………っ」 悩んだ末出した結論は 「八尋、俺――――」

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