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第81話

その日の夜もヴァイドと共に寝た 不思議と寝付きはよかった 元々一人では眠れないと言うのもあるのだろうが そして夢を見た 顔の分からない女性が浬に何やら話しかけている 恐らく母親だ 彼女は浬に手を伸ばし優しく微笑んでいる しかし何故だがその顔は見えない 手を伸ばして触れようとしても触れられない 次第に遠くなる 「母さん……待って……」 そう叫ぶが母親はどんどん遠ざかっていき 次第に見えなくなり彼女は消えた 「………り か…り 浬!!」 「………!!」 名前を呼ばれ目を覚ますとヴァイドの顔が目に飛び込んできた 今更ながら彼の顔は驚くほど整っている 吸血鬼は皆美しい容姿をしていると聞く しかし彼は際立って美しいと思う 「大丈夫か?魘されていた」 「大丈夫……」 大丈夫と言いつつ少々きつい 初めて見る母親の夢は妙にリアルで切なくて 触れたいのに触れられないのだ 夢なのだからもっと近くにいさせてくれればいいのに…… けれどそれが夢と言うものなのだろう 自分の思い通りにはならない 自分は母親にとってどんな存在なのだろう やはり必要とされなかったのかな 浬の苦しさは増していくばかり 自分が誰にも必要とされない存在なのではと 「ねぇヴァイド 俺はここにいてもいいの?」 「………どうした?突然可愛いことを言う 嫌な夢でも見たか?」 「俺は誰にも必要とされないのかなって ルシェルもきっと俺が可哀想だから傍に置いていたんだと思う ヴァイドはどうして俺を傍に置くの?」 「…………」 正直何故傍に置くのかという質問はヴァイドにもよく分からない だが1つはあやのとそっくりだと言うことが一因だろう それだけかと問われれば多分他にも何かある しかしそれがよく分からない 血縁だからではと言うのも首を縦に振る事ができない 何故ならルシェルやルイス、ジル 彼らは実の息子だと言うのに愛情などないのだから むしろ興味すら皆無だ なのに浬は別なのだと言うことは無い筈なのだ 「お前は黙ってここにいればいい 俺がそう望んでいる 俺が、お前が欲しい」 「………うん」 特別な感情が湧き上がってくる……… 今までヴァイドが感じたことの無いものだ

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