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第87話

それから一週間後 ヴァイドと出掛けることになった あの蝙蝠の双子の一人が大人の姿になり運転する高級車で この大きな屋敷を出る よく見てみると本当に大きな屋敷だ 少し離れたところから見るとこの屋敷の敷地の広さがよく分かる そして車は走りだし何処かへ向かった 暫くして車が停車した 「ここどこ?」 「行けば分かる」 ヴァイドはそう言って車から降りる 浬もそれに続いて車から降りた ヴァイドの歩く後ろを着いていったら 何やらお店に入った ここが何の店かようやく分かった 服が沢山ある どうやら洋服店に来たようだ しかもかなり高そうなブランドだ 「いらっしゃいませ」 店員らしき人が挨拶をする 浬もどうもと軽く会釈をした それからヴァイドは何やら店員と話をしている そして何か話終わり店員と一緒に浬の方を向いた すると店員は何処かへ行ってしまった 「あの……ヴァイド?」 「お前に似合う服をな あまりあの家には無いから」 「そ、そんな…… ここ凄い高そうだよ?」 「構わん」 しかし驚いたのはヴァイドが人間のいる店に来たことだ てっきり人と接したくないのかと思った 「ヴァイドは人間の店に来るんだね」 「別に人がやっている店でも良いものは良い 人か吸血鬼かはそこに関してはどうでもいい」 「そうなんだ……」 これまで結構ヴァイドに対して勘違いをしていたのかもしれない 彼はもっと非情で人の心を持たないのかと思っていた けれどちゃんと彼にも人の心はある 「お待たせしました こちらは如何でしょう? お連れ様にぴったりだと思います」 店員が持ってきたのはカジュアル系な茶色いブレザーだ 高校生には堅すぎなくて丁度いい感じの服だ 「ああこれでいい」 そして下もインナーも含めて試着した ヴァイドは気に入ったようでうん、と一度頷いて これに決めた 服はこのまま着ていく為支払いの際値札等を外して貰った 「ほんとにいいの? こんな高い服」 「いいと言っただろう ほら行くぞ」

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